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英が利上げ0.25%に 主要中銀でコロナ後初

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【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)は16日、政策金利を0.15%引き上げて同日付で年0.25%にすると発表した。利上げは2018年8月以来3年4カ月ぶり。供給制約やエネルギー価格の高騰で物価上昇率が急拡大するなか、金融緩和からの脱却を決めた。新型コロナウイルスの感染拡大後、利上げしたのは日米欧の主要4中銀で初めて。インフレ抑制へ明確な引き締めにかじを切った。

15日まで開いた金融政策委員会で、投票権を持つ政策委員9人のうち8人の賛成多数で決めた。政策金利は新型コロナの感染拡大を受けて20年3月、2度の臨時決定で過去最低の0.1%に下がっていた。

国債や社債を購入する量的緩和策については、買い入れ枠を8950億ポンド(約135兆円)で維持することを全会一致で決めた。残高はほぼ上限に達しており、新規の買い入れを止めて規模を当面保つ。

緩和策を転換したのは物価上昇が想定を上回るペースで進んだためだ。11月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比の上昇率が5.1%と、11年9月以来10年2カ月ぶりの大きさになり、インフレ目標(2%)の2.5倍を超えた。人手や部材などの供給制約やエネルギー価格の高騰で物価高が止まらず、金融引き締めの必要性が一段と高まっていた。

イングランド銀は物価見通しをさらに引き上げた。CPI上昇率は「冬の間は5%程度にとどまり22年4月に6%程度のピークをつける」とみている。8~10月の失業率は4.2%とコロナ禍前の水準にほぼ近づき、労働需給の引き締まりによるインフレ圧力も強まっている。

英国では新型コロナウイルスの新たな変異型「オミクロン型」の感染が急拡大している。15日には新規感染者数が全体で約7万8千人と過去最高を更新し、金融市場ではオミクロン型の影響を見極めるため利上げは見送りとの予想が多かった。声明文はオミクロン型の感染拡大で「12月と22年1~3月期の国内総生産(GDP)は下押しされる」との見方を示した。

議事要旨によると大方の委員は「基調的なインフレ圧力は強く、物価の中期的な安定維持へ金融引き締めの強い根拠がある」との認識を共有した。利上げに1人反対したテンレイロ委員は「オミクロン型の出現に伴う著しい不透明感から2月まで待つことが正当化される」と様子見を主張したが、オミクロン型の拡大がなければ今回の利上げが妥当だったとの見解を示した。

景気回復の足取りが乱れるなか追加利上げの行方は不透明だ。英政府は13日からイングランドで在宅勤務を奨励するなど、コロナの行動規制を再び段階的に強めている。英IHSマークイットが16日発表した12月の英国の総合購買担当者景気指数(PMI)速報値は53.2と前月比4.4ポイント下がり、10カ月ぶりの低水準に沈んだ。金融政策委は先行きについて「幾分緩やかな引き締めが必要となる可能性が高い」と説明したが、インフレ加速とコロナ禍の長期化で政策運営のかじ取りは難しさを増す。

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