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イラン、抜き打ち査察拒否通告 バイデン政権ゆさぶり

イランのロウハ二大統領。同国は核合意の義務逸脱を重ねている(イラン大統領府提供)=ゲッティ共同

【ドバイ=岐部秀光】イランは、イラン核合意で定められた原子力活動制限を検証するために受け入れてきた未申告の施設への抜き打ち査察を23日から取りやめると国際原子力機関(IAEA)に伝えた。イランによる原子力活動の実態が一段と見えにくくなり、米国のバイデン新政権が模索する核合意の修復はきわめて困難となる。

抜き打ち査察受け入れはイランに暫定適用されているIAEA保障措置協定の「追加議定書」に基づく合意事項。核拡散防止条約(NPT)締約国に義務付けられる保障措置協定に加えて未申告の施設などへの査察官の抜き打ちでの立ち入りを認める。追加議定書は2020年末の段階で日本もふくむ150カ国が署名している。

イランのロウハニ大統領は17日の演説で「イランは核兵器を保有も使用もしないし、秘密の核計画を進めるつもりもない」と発言し、追加議定書の履行取り止めは、米国のバイデン政権発足後も制裁解除が進まないことへの対抗措置であるとの認識を示した。20年12月にイラン国会が成立させた法は追加議定書にもとづく査察に協力しないよう政府に義務付けた。

イランのガリババディIAEA大使はツイッターで「法は期限通りに執行される。新しいコースに円滑に移るため、IAEAに(抜き打ち査察受け入れの停止を)報告した」と明らかにした。イランは査察全般を拒否するものではないと指摘している。

IAEAは未申告の施設への抜き打ちでの立ち入りをすることができなくなり、規模も縮小を迫られる。特に深刻なのはイラン核合意の肝である「ブレークアウトタイム」が、想定している1年から大きく短縮される可能性があることだ。

これはイランが万一、核武装を決断したとき、核兵器1個分の兵器級の高濃縮ウランを手にするまでにかかる時間が一気に短くなることを意味する。国際社会が問題を外交的に解決するために費やす時間が大きく制限されてしまう。

イランは追加議定書に03年に署名したものの批准はしておらず、06年に自発的な履行の停止を宣言した。15年、イランと米英独仏中ロのあいだで成立した核合意ではイランが追加議定書の批准を前提とした「暫定適用」を受け入れた。

トランプ米政権が18年、一方的に離脱した核合意の立て直しには、米バイデン政権とイランの双方が関心をもつ。だが、その道のりをめぐっては、早期の米制裁解除を求めるイランと「イランの合意義務への回帰が先決」とするバイデン政権のあいだに深い溝がある。

21年6月にロウハニ大統領の任期満了にともなう大統領選挙をひかえるイランでは反米の保守強硬派が勢いを増す。

イランの隣国イラク北部アルビルでは15日、米軍駐留拠点の付近にロケット弾による攻撃があった。少なくとも10人が死傷し、負傷者に米国人が含まれる。親イラン武装勢力による犯行の可能性があり、バイデン政権の対応に注目が集まっている。

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