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イスラエル・ハマスなぜ交戦?聖地の衝突発火(Q&A)

18日もガザに対するイスラエル軍の空爆は続いた=ロイター

イスラエル軍とパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスの交戦が10日から続き、犠牲が膨らんでいる。根深い対立が再燃した経緯と構図をまとめた。

Q 交戦の原因は。

A 聖地エルサレムでのパレスチナ人とイスラエル警察の衝突が発端だ。イスラム教のラマダン(断食月)が始まった4月中旬から小競り合いが相次ぎ、今月7日に旧市街のイスラム教礼拝所「アルアクサ・モスク」付近で衝突が激化した。

イスラエルが東エルサレムのシェイク・ジャラ地区に住むパレスチナ人家族に立ち退きを迫り、パレスチナ側の怒りに火をつけた。ユダヤ人が所有権を主張している。イスラエルの占領地でユダヤ人が国際法に反する入植活動を進め、パレスチナ人を追い出す象徴として反感が広がった

ハマスは同モスクにイスラエル警察が突入したことに特に反発し、10日にイスラエルにロケット弾を発射した。イスラエル軍は直ちにガザを空爆し、攻撃の応酬に発展した。

Q 沈静化できなかったのはなぜか。

A ラマダン終盤でイスラム教徒の信仰心が高まる時期に重なり、ユダヤ人にとっては10日がイスラエルが1967年に東エルサレムを占領したのを記念する「エルサレムの日」だった。互いに帰属意識が強まり緊張を増幅した。

双方の内政事情もある。イスラエルのネタニヤフ首相は総選挙を受けた連立協議に失敗したばかりで、強気の危機対応で支持を広げる狙いだとの見方がある。パレスチナでは主流派が15年ぶりの評議会選(議会選)を延期し、優勢とみられたハマスがいらだちを募らせていた。

Q 国際情勢の影響は。

A 近年の米国の政策や中東情勢の変化で蓄積したパレスチナの怒りが噴出した面がある。48年のイスラエル建国と4度の中東戦争を経て、イスラエルの占領や入植が固定化している。

それなのにトランプ前米政権はエルサレムをイスラエルの首都と認め、ユダヤ人の入植活動を容認、イスラエル寄りの独自の中東和平案を一方的に示した。昨年にはパレスチナ問題を棚上げにする形で、アラブの4カ国がイスラエルと国交を正常化した。パレスチナの孤立感と不満は置き去りにされていた。

Q どう事態を収拾するか。

A 国連が双方に自制を呼び掛け、エジプトなどが仲介に乗り出したが、停戦の見通しは立たない。バイデン米政権の外交努力が後手に回っているとの批判がある。まだ駐イスラエル米大使を決めておらず、パレスチナ自治政府のアッバス議長と15日に電話したのは、自らが大統領に就任した1月以来初めてだった。

バイデン政権はイスラエルと将来のパレスチナが共存する「2国家共存」を支持するが、具体化するための政策は描けていない。双方が納得する解決策を見いださない限り、衝突は繰り返される可能性が高い。

Q ハマスとは何者か。

A 87年に結成され、イスラエルに対する武装闘争の一方、政界に進出し2006年のパレスチナ評議会選で勝利後、ガザを武力制圧した。イスラエルや米国はテロ組織に認定している。病院や学校を運営し、パレスチナ人の間で根強い人気がある。

イスラエル軍とは過去にも繰り返し交戦しており、最近では14年に大規模な衝突があった。このときはイスラエル軍がガザに地上侵攻し、戦闘による死者は2千人を超えた。(カイロ=久門武史)

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