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UAE首都で爆発、無人機攻撃か 3人死亡

紛争や暗殺未遂、中東アフリカで拡散

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【カイロ=久門武史】アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで17日、爆発と火災が相次いで発生し、警察は無人機(ドローン)攻撃の可能性があると発表した。3人が死亡し6人が負傷した。国営通信が伝えた。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が犯行を主張した。中東アフリカでドローンが重要な兵器として広がっている。

アブダビ国営石油(ADNOC)施設の周辺でタンクローリー3台が爆発したほか、アブダビ国際空港付近で小規模な火災が起きた。警察は小型の飛行物体が原因との見方を示し、ドローンだった可能性があるとした。

UAEはサウジアラビアが主導し2015年に始めたイエメンへの軍事介入に参加している。フーシ派はドローンでサウジへの越境攻撃を重ねるが、アブダビを狙う例は珍しい。

広がるドローンの軍事利用で中東アフリカは実戦の舞台になっている。最近ではエチオピアが使ったとされる。「またむごいドローン攻撃だ」。同国北部ティグレ州が拠点の反政府勢力ティグレ人民解放戦線(TPLF)は8日、連邦政府軍のドローンによる空爆で56人が死亡したと主張した。AFP通信は10日にも州内が空爆されたとし「ドローンが飛来し、少し滞空した後に爆弾を落とした」との目撃談を伝えた。

TPLFは21年秋に隣接州の要衝を制圧し首都アディスアベバに進撃する勢いをみせたが一転、12月にティグレ州に撤退した。連邦政府軍がTPLFを劣勢に追い込んだ切り札が、外国製ドローンだったとの見方が強い。

米紙ニューヨーク・タイムズはエチオピア政府がUAE、トルコ、イランからドローンを調達し、攻勢に転じたとする外交筋の話を伝えた。トルコは国産ドローンの開発に力を入れ、UAEは中国製を輸入している。

ティグレ州では通信が遮断され実態は不明だ。エチオピア出身のテドロス世界保健機関(WHO)事務局長は12日、戦場になり医療品など支援物資の搬入が阻まれている同州を「地獄だ」と指摘した。エチオピア外務省は「内政干渉」と抗議する書簡をWHOに送った。

ドローンは戦闘機やミサイルに比べ空爆の主体が分かりにくく、コストが安い。自らの人的損害の危険も少ない。全面戦争に至るリスクを抑えつつ、制空権を握り心理的に圧迫する効果が見込める。

アフリカ南東部モザンビークのイスラム過激派掃討のため21年夏から派兵している東アフリカのルワンダは、トルコ製ドローンを購入したと報じられた。過激派組織がドローンを攻撃目標の特定に使っているとモザンビークの内相が訴えていた。

中東では一足早く不気味なドローン攻撃が広がっている。昨年11月、イラクの首都バグダッドでカディミ首相の自宅に爆発物を積んだドローンが突っ込んだ。暗殺未遂の犯人はいまだに不明だ。

19年にはサウジ東部の石油施設が何者かのドローン攻撃を受け、石油市場に激震が走った。サウジを消耗させる狙いとみられ、対立するイランの関与を疑う声がある。

「イランは攻撃だけでなく武器輸送に無人機を使っている」。イスラエルのガンツ国防相は21年11月、敵対するイランのドローン基地の位置を暴露し警戒を訴えた。イスラエルもパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスとの同5月の大規模戦闘で、互いにドローン攻撃を仕掛けている。

内戦が続いたリビアでは20年、人工知能(AI)を搭載したドローンが使われた疑いがある。トルコの軍事企業STM製の「カルグ2」とされ、国連専門家パネルが報告書で「自律的な殺人兵器」と指摘した。

戦争の勝敗を決する兵器との注目を集めたのが20年のナゴルノカラバフ紛争だ。アゼルバイジャン軍はトルコとイスラエルから調達したドローンでアルメニア軍の戦車を無力化した。

ドローンは荷物の配達や気象観測など民生利用で省力化に貢献する半面、決戦兵器としての能力も急速に発達している。人の判断が介在しない殺人ロボット兵器になる懸念も現実のものになってきたが、使用を制限する国際的なルール整備は追いついていない。

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