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英送電施設で火災、エネ高騰に拍車 仏からの供給制約

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英国の卸電力価格は9月に入り急上昇していた(イングランド中部)=ロイター

【ロンドン=篠崎健太】英南東部ケント州の送電施設で15日未明に火災が発生し、フランスと電力を融通するインフラの一部が機能を停止した。同日のロンドン市場では卸電力の取引価格が大きく上昇し、発電用の需要が高まるとの思惑で英国の天然ガス先物は一時前日比18%高と急騰した。世界的なエネルギー価格の高騰に拍車をかけた形で、冬場の電力・ガス需給の逼迫や経済への悪影響に懸念が出ている。

火災が起きたのは英送電大手ナショナル・グリッドの変電所で、英国とフランスを結ぶ海底送電線「IFA」を扱う施設だ。地元の消防当局によると消防車12台などが出動して消火活動にあたった。被害の規模や原因など詳細は明らかになっていない。

IFAには2ギガ(ギガは10億)ワットの送電能力がある。このうち1ギガワット分の機能が火災の影響で止まった。ナショナル・グリッドは再開について2022年3月27日以降になるとの見方を市場参加者に通知した。火災前から停止が予定されていた残る1ギガワット分の再開は今年9月25日以降になる見込み。「IFA2」という別の系統(1ギガワット)は正常に稼働している。

英国は必要に応じて欧州大陸から電力を買っており、IFAは主要な調達ルートの一つだ。英メディアによると、ナショナル・グリッドは当面の電力供給に問題はないと判断している。ただ今回の火災は、欧州で天然ガスや電力の相場が騰勢を強めている悪いタイミングに重なった。

金融情報会社リフィニティブによると、15日は英国の卸電力取引価格(翌日受け渡し、ベースロード電力)は一時1メガ(メガは100万)ワット時あたり500ポンド(約7万5500円)と、前日と比べて25%上昇した。100ポンド前後で推移していた8月までと比べて4~5倍に跳ね上がっている。発電に使われる天然ガスの世界的な高騰や経済回復、風量の不足に伴う風力発電の稼働低下などが背景にある。

ICEフューチャーズ・ヨーロッパに上場する英国の天然ガス先物は、10月物が前日比18%高い1サームあたり1.94ポンド強まで買われた。期近ベースの上場来高値を連日で更新した。天然ガスは米国やアジアでも高騰が続いており、企業収益や家計、インフレ動向への悪影響が無視できなくなっている。

米金融大手ゴールドマン・サックスは14日付のリポートで、冬場にかけて欧州とアジアの両方で厳しい天候になれば、欧州で天然ガスが在庫不足に陥る恐れを指摘した。最悪の場合は電力・ガス価格が需要を壊すほどに上昇したり、産業界が停電に直面したりするリスクもあると言及した。

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