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独仏伊首脳がキーウ訪問 ショルツ氏、EU加盟候補へ支持

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【ベルリン=南毅郎】ドイツのショルツ首相とフランスのマクロン大統領、イタリアのドラギ首相は16日、ウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪問した。3氏ともロシアの侵攻開始後で初の訪問で、ゼレンスキー大統領と会談した。

ショルツ氏は会談後の共同記者会見で「必要な限り支援を続ける」と表明し、ウクライナの欧州連合(EU)加盟候補国入りを支持した。今月下旬の主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に連帯を示した。

マクロン氏は「欧州はウクライナが勝利するまで寄り添う」と強調し、ウクライナにりゅう弾砲の追加供与を進める考えも明らかにした。

一方、ゼレンスキー氏は「勝利の始まりになることを祈る」と各国首脳の訪問に感謝を述べた。

会談に先立ち、独仏伊の首脳はキーウ近郊で多数の民間人の遺体が見つかったイルピンを視察した。ショルツ氏は壊された街並みを見て「破壊と征服に固執するロシアの侵略戦争の残虐性をよく表している」とロシアを強く非難した。

ゼレンスキー氏はツイッターで15日、ショルツ氏からG7サミットへの招待を受けたと明らかにした。同氏は、その後の北大西洋条約機構(NATO)首脳会議にも参加する見通しだ。

独紙によると、イタリアを交えた訪問はフランス側から持ちかけられた。ウクライナのEU加盟に前向きなイタリアが加わることで支援に消極的との批判をかわす狙いも透ける。今回の訪問にはルーマニアのヨハニス大統領も合流した。EUのフォンデアライエン欧州委員長やジョンソン英首相などはすでに訪れており、ショルツ氏らにはウクライナ訪問を求める声が強まっていた。

ロシアのウクライナ侵攻から4カ月が迫るなか、今回の訪問時期には各国の複雑な事情も絡んでいる。

ドイツではシュタインマイヤー大統領が4月にウクライナ訪問を計画したものの、同国側から拒否された。同氏はメルケル政権下で外相を務めた人物で、ロシアとのガスパイプライン計画「ノルドストリーム2」を支持するなど対ロ融和を進めた張本人との責任論が出ている。大統領の訪問拒否で、一時期はショルツ氏の予定も見通しが立たずにいた。

フランスではマクロン氏が19日に国民議会(下院)決選投票を控える。物価高による政権批判で1回目投票では支持が伸び悩んでおり、各種世論調査によると与党連合が過半数割れを起こす恐れもある。外交で点数を稼ぎ、支持率上昇につなげたい考えだ。

マクロン氏のもう一つの狙いは停戦交渉時にフランスが交渉のテーブルに中心メンバーとして参加することだ。フランスやEUに有利な条件を引き出す思惑があり、もしこうした努力を怠れば中国やトルコなどEU外の国が交渉の主導権を握ると懸念している。そのために批判されながらもロシアのプーチン大統領との電話協議も継続的に実施しており、ゼレンスキー氏とも連絡を密にしてきた。

イタリアにとっては、EUでの存在感を高める好機でもある。独仏がロシアに一定の配慮を見せるのに対し、イタリアは厳しい姿勢を見せる。ドラギ首相は「平和」か「エアコン」か選ぶ必要があると伊国民に呼びかけ、ロシア産エネルギーなどに対してEUは断固とした制裁をとるべきだとの立場だ。

ウクライナ危機に迅速に対応するため、EUの意思決定で多数決制への移行も主張。5月にはイタリア独自の和平案もまとめ、国連のグテレス事務総長に提出した。

6月26~28日に独南部のエルマウ城で開催するG7サミットではウクライナへの支援とロシアへの制裁強化が主要議題になる見通しだ。ロシアの侵攻が長引くなか、ウクライナは戦車やりゅう弾砲などの重火器の追加供与を求めている。

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