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独与党CDU、新党首にラシェット氏 メルケル後継の軸に

(更新)
メルケル首相の後継争いが本格化。CDUの新党首に決まったラシェット氏=ロイター

【ベルリン=石川潤】ドイツの与党、キリスト教民主同盟(CDU)は16日、新党首にメルケル首相に近く中道派のアルミン・ラシェット氏(59)を選出した。メルケル首相は2021年秋の政界引退を表明しており、今後、ラシェット氏を軸に次期首相争いが進む。中道路線の維持か保守回帰かが争点だったが、党員は変化より安定を選んだ。

新党首が次期首相になるには、会派内の首相候補争いと9月の連邦議会(下院)選挙という2つのハードルを乗り越える必要がある。ラシェット氏は党首選での勝利確定後、政権維持へ「あらゆることをしていく」と語った。

「ワンマンショーではなくチームキャプテンを」。党首選挙の直前にこう訴えたラシェット氏が、反メルケルで保守派のフリードリヒ・メルツ氏(65)、外交政策に詳しいノルベルト・レトゲン氏(55)を破って新党首就任を決めた。

各地方の代表者による1回目の投票ではメルツ氏がわずかにリードしたが、決選投票でラシェット氏が逆転した。決選投票での得票はラシェット氏が521票、メルツ氏が466票だった。

党首選で問われたのはメルケル時代の「次」をどう描くかだ。CDUは中道右派政党だが、メルケル首相は脱原発や最低賃金の導入など左派寄りの政策を進めてきた。

ラシェット氏はメルケル路線の継承を強調して選挙戦を進めた。ラシェット氏はドイツで人口がもっとも多いノルトライン・ウェストファーレン州首相としての実績を強調し、安定を求める党員の支持を集めた。メルケル氏に近い党幹部らも相次いで支持を表明していた。

メルツ氏は保守回帰を唱えたが、進路変更への警戒論が強く、及ばなかった。財政拡大に慎重で米国との同盟を重視する同氏が勝てば、経済対策や欧州連合(EU)の統合強化の路線が修正を迫られる可能性もあった。

ラシェット氏は派手さはないが地道に実績を積み重ねる協調型リーダー。州首相として治安改善や脱石炭などを進め、手腕はメルケル氏からも高く評価されてきた。

ラシェット氏は当初から本命と言われてきたが、コロナ対策に苦戦して一時評価を落とした。強い指導力が求められる危機の局面で、「チームプレーヤー」(ラシェット氏)としての振る舞いが、決断力のなさと受け止められた面もある。

CDUの新党首になったことで、ラシェット氏は次期首相に大きく近づいた。ただ、自動的に首相の座が転がり込んでくるわけではない。まずは会派内の首相候補争いに勝ち抜く必要がある。

CDUは南部バイエルン州が地盤の姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)と会派を組んでおり、両党で話し合って次の連邦議会選挙の顔となる首相候補を決める。

通常であれば規模に勝るCDUの党首が首相候補になるが、世論調査でのラシェット氏の支持率が低迷しており、9月の選挙で戦えるのか疑う声がある。

ラシェット氏の人気が上向かなければ、厳格な新型コロナ対策で評価を上げたバイエルン州首相のゼーダーCSU党首を首相候補に担ぐ動きが強まりそうだ。危機対応で頭角を現したシュパーン保健相の待望論が広がる可能性もある。

もう一つのハードルが、9月26日の連邦議会選挙だ。独調査機関のインフラテスト・ディマップによると、足元のCDU・CSUの支持率は35%で2位の緑の党(21%)や3位のドイツ社会民主党(14%)を引き離している。

ただ、メルケル首相の人気に頼っている面があり、秋に同じ結果を得られるかは不透明だ。選挙で第1党を確保し、緑の党などとの連立交渉をまとめ上げることで初めて首相への道が開ける。

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