IAEA、ロシアにウクライナ原発から退去求める決議 - 日本経済新聞
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IAEA、ロシアにウクライナ原発から退去求める決議

【フランクフルト=林英樹】国際原子力機関(IAEA)の理事会は15日、ウクライナ南部ザポロジエ原子力発電所を占拠しているロシアに対し、退去を求める決議を採択した。安全確保のためIAEAなどが原発周辺の非武装化を求めているが、ロシア側は応じず、重大な事故が起きかねない緊迫した状況が続いている。

35カ国からなる理事会はIAEAの政策決定機関で、12日から始まった。ロイター通信によると、決議はカナダとポーランドが提案。「ザポロジエ原発やウクライナの他の原発に対するいかなる行動も即時停止する」よう求める内容で、26カ国の賛成で成立した。

ロシアと中国の2カ国が反対。インドやエジプトなど7カ国が棄権した。IAEAは3月の臨時理事会でロシアに対する非難決議を採択したが、ロシア軍はその後、ザポロジエ原発を占拠した。決議に法的拘束力はないが、ロシアに圧力をかける狙いがある。

ザポロジエ原発を巡っては、8月以降、施設や周辺で砲撃が相次いでいる。ロシアとウクライナ、双方が相手国による攻撃だと非難し合っている。9月1日からIAEAが現地調査を開始。現在もスタッフが常駐し、監視を続けている。

ウクライナのミハイロ・ポドリャク大統領府長官顧問はロイターに対し、「エネルギーインフラへの攻撃が増加すると予測している」と語った。電力需要が高まる冬場を前に、国内総電力の2割を占めるザポロジエ原発が攻撃のターゲットとなる恐れが高まっている。

ウクライナが奪還を進めている東部ハリコフ州では、ロシア軍が放棄した大量の地雷や弾薬が処理されずにそのまま残っており、行政当局者が住民に注意を呼びかけている。米CNNが同州イジューム市長の話として報じた。

イジューム市長はロシア軍兵士が森の中にまだ隠れていると指摘。周辺地域ではインフラが打撃を受けており、給水や電気・ガスの供給ができない状況だといい、「住民が自宅に戻るのにまだ時間がかかる」と語った。

隣接するドネツク州では依然としてロシアの砲撃が続く。15日にかけて同州バフムートの集合住宅がロシア軍の砲撃で損壊し、住民らの捜索が行われた。他の都市でも病院や住宅が攻撃を受け、少なくとも2人が死亡した。

ドイツのランブレヒト国防相は15日、新たに2基の多連装ロケットシステム砲をウクライナに供与すると発表した。一方、ウクライナのゼレンスキー大統領は同日の記者会見で「ロシアの空爆から町を守るために、防空システムが優先事項だ」と述べたうえで、同システムの供与についてイスラエルから肯定的な反応がないことを明らかにした。

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