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WTO新事務局長「ルールの近代化必要」

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【ウィーン=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)の新事務局長への就任が決まったナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相は15日、オンラインで記者会見し、21世紀の問題に対処できるように「WTOのルールを近代化する必要がある」と語った。電子商取引などデジタル時代に見合ったルールづくりを急ぐ。

新型コロナウイルスの感染拡大で、企業や個人のオンラインでのサービス利用は飛躍的に拡大した。しかし、WTOには、国境を越えるデータ流通などを巡るルールがない。オコンジョイウェアラ氏は「電子商取引は中小企業(のビジネス)も助ける」として、国際的なルールの策定へ交渉を加速させる考えを強調した。

「自由貿易の番人」と呼ばれるWTOは途上国と先進国、米中の対立などに苦慮し、十分な役割を発揮できていない。オコンジョイウェアラ氏はWTOは「深く広範な改革が必要だ」と指摘。しかし、「加盟国間の信頼が欠けているため、(改革は)容易ではない」とも強調し、各国と対話をしながら解決策を見つけていくとした。

WTOは重要な柱である紛争処理制度が2019年末から機能停止している。米国のトランプ前政権が判決に不満を示し、裁判官にあたる委員の任命を拒否し続けたためだ。オコンジョイウェアラ氏はWTOは「加盟国が貿易紛争の案件を持ち込める世界で唯一の場所だ」などと重要性を訴え、信頼できる制度の復活に全力を注ぐとした。国際協調を重視するバイデン米政権が委員の任命を容認するかに注目が集まる。

「何よりもまず新型コロナの問題に焦点をあてる」とも述べた。特にワクチンの普及は喫緊の課題で、知的財産を保護しながらより多くの国が製造できる体制を整えることなどを課題に挙げた。各国が争奪戦を繰り広げるワクチンナショナリズムは「報われない」と強調した。

WTOのトップ不在はアゼベド前事務局長が20年8月末に退任後、半年近くに及んだ。次期事務局長の選出を巡っては、米国や欧州諸国、中国の意見が数カ月にわたって折り合わず、加盟国の全会一致を原則とする合意形成は難航した。トランプ前米政権は中国が影響力を強めるアフリカ出身者の選出に強く反対し、韓国の候補者を支持していた。

WTOの全164加盟国・地域は15日、臨時の一般理事会でオコンジョイウェアラ氏を新事務局長に選出した。WTOでは初の女性トップで、3月1日付で就任する。

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