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NATO、核抑止の演習 ロシアの威嚇に対抗

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【ブリュッセル=竹内康雄】北大西洋条約機構(NATO)は17日、核抑止の演習を始めた。米国を含む14カ国が参加し、ウクライナ侵攻で核の脅しを続けるロシアを念頭に高度な核抑止力の維持を確認する。ロシアも近く核演習を計画しており、緊張が高まる可能性がある。

「ステッドファスト・ヌーン」と呼ばれる演習は30日まで実施する。ベルギーや北海、英国など欧州北西部の上空で、各国空軍の航空機が最大60機参加する。核兵器の投下訓練などが含まれるとみられる。実弾は使用しない。

NATO報道官は声明で「同盟国の核抑止力が安全、安心、効果的に維持されるようにするためだ」と語った。演習は定期的なもので、2021年も10月に実施した。

ロシアのプーチン大統領が核兵器の使用を示唆する中でNATOが核演習をすると、一段と緊張を高めるリスクがある。NATOはロシアのウクライナ侵攻前から計画され、「現在の世界情勢との関連はない」と説明する。

ストルテンベルグ事務総長は11日の記者会見で「定例の演習を中止すれば、間違ったシグナルを送ることになる」と予定通りの実行が重要との見解を示した。

一方で、ロシアも核演習を計画している。ロシアの演習も定例というが、足元の対立を踏まえ、「注意深く監視する」(ストルテンベルグ氏)。

ロイター通信によると、ロシアの演習には弾道ミサイルの発射実験も含まれるといい、NATOは、ロシアが演習と偽って、実際に核兵器を使うシナリオを警戒している。

NATOは「現段階でロシア側の姿勢に変化はない」と繰り返してきた。だが、ロシアが一方的に併合を宣言したウクライナ領の4州でも苦戦が伝えられるなか、追い詰められたロシアが核兵器の使用に踏み切るリスクも意識されている。

NATOはロシアが核を使用すれば「非常に重要な一線を越える」と警告する。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表は13日、「ロシア軍が消滅するような結果が待ち受けているだろう」と加盟国による対抗措置があるとの認識を示した。

一方、フランスのマクロン大統領は仏テレビにロシアがウクライナで核兵器を使っても、フランスの核使用にはつながらないとの認識を示し、批判を呼んでいる。

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