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ドイツ最大州でも選挙敗北 ショルツ与党に打撃

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【デュッセルドルフ=南毅郎】ドイツ西部ノルトライン・ウェストファーレン州で15日投開票された州議会選挙で、ショルツ首相の所属する中道左派のドイツ社会民主党(SPD)が支持を大きく下げた。物価高をめぐる有権者の不満のほか、ウクライナ危機への対応の混乱などが響いたもようだ。8日の北部の州議会選挙に続く連敗で、同氏の政治的な求心力に打撃が広がっている。

政界引退したメルケル前首相が党首を務めた国政レベルの最大野党・中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)は第1党を維持する。環境政党「緑の党」も支持を広げた。

同州の人口は国内最大の約1800万人。日本企業が多く進出するデュッセルドルフを州都とする。CDUの地盤州だ。2021年12月に発足したショルツ政権への評価を測るうえで選挙の結果が注目されていた。

SPDは3月下旬の西部ザールラント州で勝利したものの、5月上旬の北部シュレスウィヒ・ホルシュタイン州では大敗した。

公共放送ARDによると、得票率の最終結果(速報値)はSPDが27%と、前回17年の選挙から5ポイント近く下がった。第2次世界大戦後の1947年に実施した初回の選挙以降で最低となる。

一方、CDUは36%と3ポイント近く伸ばして第1党を維持する。自由民主党(FDP)は6%と7ポイントほど低下し、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の5%をわずかに上回る厳しい結果になった。

今回の選挙ではインフレや気候変動への対応が有権者の関心を集めた。ドイツは消費者物価の伸び率が7%超と歴史的な高水準にある。ロシアのウクライナ侵攻に伴う供給不安から天然資源や食品などの価格が高騰しているためだ。インフレは家計の負担を増やすため、政権への不満につながりやすい。

選挙では「緑の党」が受け皿になった。得票率は18%と前回から12ポイントほど大幅に支持を伸ばした。ウクライナ危機をめぐり、緑の党を率いてきたベーアボック外相やハベック経済・気候相が積極的に発言していることも支持につながったとみられる。

ショルツ政権は国内外の情勢を見極めながら、難しい政治判断を迫られている。ウクライナへの支援をめぐっては、重火器などの武器供与の判断が遅れたとしてショルツ氏に批判が高まった。天然ガスの輸入をロシアに依存してきたドイツは、安全保障の観点からも脱炭素戦略の前倒しを急ぐ。

ロシアが天然ガスの供給を全面的に止める事態になれば経済への打撃は深刻で、景気後退に陥るリスクが現実味を帯びる。ドイツ連邦銀行(中央銀行)は、資源の輸入が止まった場合、実質国内総生産(GDP)を2%押し下げると警鐘を鳴らしている。

新型コロナウイルスで打撃を受けた経済の回復も足取りは鈍く、対処すべき課題は山積みだ。

SPDは、伝統的に社会保障などの国内政策に軸足を置く。しかし、ウクライナでの戦闘が長引くなか、政権浮揚を図るためにも支援策の拡充を求められる可能性がある。

ロシアへの追加制裁も含め、ウクライナ危機への対処は道義的な理由だけでなく、国内の政治情勢も無視できなくなっている。

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