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独与党、州議選で大敗 「メルケル後」狙う新党首に試練

次のドイツ首相を目指すラシェットCDU党首㊨が早くも正念場を迎えた(2020年8月)=AP

【ベルリン=石川潤】ドイツのメルケル首相の与党、キリスト教民主同盟(CDU)が14日投開票の西部2州の州議会選で大敗した。次の政権を争う9月の連邦議会選(総選挙)に向けた緒戦でつまずき、政権維持へ不安を残した。秋に政界を引退するメルケル氏の次の首相の最有力候補である新任のラシェットCDU党首が党勢を立て直せなければ、ドイツの内政は不安定になりかねない。

「不当な振る舞いと恥知らずな言動があった」。CDUのツィーミアク幹事長は14日、2つの州議選で過去最低の得票率にとどまる敗北となった理由として、新型コロナウイルスの感染が広がるなか、マスク取引を巡ってCDUの連邦議会議員(下院)が多額の手数料を得ていたとされる問題をあげた。

選挙直前に浮上したマスクを巡る不祥事で、渦中の議員は辞職を表明したが、有権者の怒りは収まらない。長引く都市封鎖(ロックダウン)、新型コロナのワクチン接種の遅れ、感染の再拡大の兆しでただでさえ不満が膨らんでいるなかで、火に油を注いだかたちだ。

南西部のバーデン・ビュルテンベルク州では、緑の党が3割を超える得票で第1党を維持し、CDUは2016年の前回選挙より3ポイント近く低い約24%にとどまった。西部ラインラント・プファルツ州でもCDUの得票率は前回16年より4ポイント強低い約28%となり、第1党のドイツ社会民主党(SPD)に8ポイント引き離された。

新型コロナの影響で、両州では多くの人が事前に郵送で投票を済ませていた。当日の投票が多ければ、不祥事の影響がさらに広がった可能性もある。

連邦制のドイツでは、上院を各州の代表で構成し、連邦議会選は下院選を指す。

州議選の結果が国政を左右することも多い。メルケル氏は18年秋の州議選で連敗し、兼任していたCDU党首を辞任した。後任の党首に就いたクランプカレンバウアー氏も20年、東部チューリンゲン州での政権樹立を巡る混乱を収拾できず、辞任に追い込まれた。

今後の焦点は、9月の連邦議会選までにCDUが党勢を立て直せるかどうかだ。ドイツ全体でみれば、CDUの支持率は3割を超え、2位で約2割の緑の党との差は大きい。だが、CDUの支持率はじりじりと低下しており、ワクチン接種がさらに遅れたり、不祥事の波紋が広がったりすれば、緑の党との差は一気に縮まりかねない。

メルケル政権はCDUとSPDの連立だ。だが、SPDの首相候補であるショルツ財務相は14日夜「CDU抜きという選択肢を示せた」と語った。2つの州議選は、CDUに頼らなくても、SPDと緑の党を軸に過半数を獲得できる結果となったからだ。国政でもこれと同じ状況をつくり出すことを、SPDなどは目指している。

現在の支持率を前提にすれば、9月の連邦議会選後の新政権は、CDUと緑の党の連立がほぼ唯一の選択肢になる。だが今後、CDUの支持率が3割を割り込む事態になれば、緑の党とSPDに企業寄りの自由民主党を加えた連合なども選択肢に入ってくる。

CDU党首に1月、選ばれたばかりのラシェット氏は早くも正念場を迎えた。メルケル氏に近い中道派で、次期首相の最有力候補だが、十分な存在感を示せないでいる。党内を引き締め、新型コロナが引き起こした危機を収束させる道筋をみせることができなければ、「メルケル後」のリーダーの座も遠ざかりかねない。

CDUと姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)は5月までに統一の首相候補を決定し、9月の連邦議会選に臨む。いまのところラシェット氏が選ばれるのがメインシナリオのはずだが、両党は選挙に勝てる候補を求めている。厳しい新型コロナ封じで人気を高めた南部のバイエルン州首相のゼーダーCSU党首の芽も消えてはいない。

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