トルコ地震、死者4万人に迫る シリア北西部に支援回廊
(更新)

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ南部で6日起きた地震で、トルコとシリアの死者は14日までに計3万9000人を超えた。内戦下のシリアでは同日、北西部の反体制派地域に物資を運び入れるための新たな出入り口が設けられ、国連のトラックが入った。
トルコは14日、自国の死者が3万5000人超になったと発表した。約3万3000人が死亡したとされる1939年のエルジンジャン地震の被害を上回り、現在のトルコ共和国史上で最悪となった。地震発生から8日が経過した同日も生存者が救出されたが、死者数はなお拡大するとみられている。
国連によると、シリアでは4300人超が死亡した。14日には、シリア北西部の反体制派地域に支援物資を運び入れるルートが新たに設けられ、食料や衛生用品などを積んだ国連のトラック10台以上がトルコ国境側から入った。
この越境支援ルートは近年、アサド政権などの反対で使われなくなっていた。残った唯一のルートは地震後、道路の損傷で9日まで通行できず、反体制派地域への救援は遅れていた。国連などの働きかけを受けたアサド政権は、さらに1カ所の越境支援を認める考えを示している。
国連のグテレス事務総長は声明で「アサド政権の決断を歓迎する」と述べた。アサド政権の退陣を求めてきた米国のトーマスグリーンフィールド国連大使も「地震から1週間が過ぎたのは遅かったが、大いに歓迎する」と評価した。
国連は14日、シリア国内で少なくとも880万人が被災したとの見方を示したうえ、中でも緊急度の高い490万人のために今後3カ月分として約4億ドル(約530億円)の支援を国際社会に求めた。