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湾岸戦争30年 バイデン米政権、中東混乱収拾の重責

1月8日、イラク首都バグダッドでソレイマニ司令官殺害から1年で開かれた反米集会=AP

【ドバイ=岐部秀光】米国主導の多国籍軍が、フセイン政権によるクウェートへの侵攻と支配を阻止するためイラクに攻め込んだ湾岸戦争の開戦から17日で30年となった。20日に就任する米国のバイデン次期大統領は中東混乱の収拾という重責を再び担う。

「米国に死を!」。1月、イラン革命防衛隊のカリスマ司令官が米軍の無人機で殺害されて1年となったイラクの首都バグダッドでは大規模な反米集会が開かれた。

1991年の湾岸戦争でイラクのフセイン政権による他国の領土侵攻の野心を砕いた米国は2003年のイラク戦争で同政権を打倒し、中東に自由と民主主義を広めようとした。だが、その大がかりな構想は挫折し、イラクでは反米感情が吹き出している。

米と対立するイランの影響が強まり、過激派組織「イスラム国」(IS)のような過激思想も広がった。政治混乱に加え、原油安の直撃でイラク経済は崩壊寸前だ。

バイデン氏はイランをめぐり、トランプ政権が残す「負の遺産」に直面する。対立や火種の多い中東で核拡散を防ぐ機能を持っていたイラン核合意からトランプ氏は現実的な代案もなく18年に脱退し、関連制裁を復活させた。

イランのロウハニ大統領は13日「弱い者いじめと人種差別と法律違反を繰り返した、不道徳で恥ずべき政権の末路を目にしている」とトランプ時代の幕引きを酷評した。

イランでは核合意を主導したロウハニ師ら穏健派の立場が弱まり、強硬派が台頭した。米に対抗してイランが義務から逸脱を繰り返し、合意は骨抜きとなった。

トランプ政権はイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)などの国交正常化で成果を上げたが、パレスチナ問題は置き去りにされたままだ。

トランプ政権がエルサレムをイスラエルの首都として認め、米大使館を移転したことで、イスラエル、パレスチナによる将来の「2国家解決」の道は険しくなった。

冷戦時代に対立していたソ連が一転して米国を支持した湾岸戦争当時と現在の大きな違いは、米国の覇権を前提とする秩序に中ロが公然と挑んでいることだ。

多国間主義や法の支配をないがしろにしたトランプ政権の4年は、皮肉にも世界の安定にとっての米国の影響力の重要性を改めて浮き彫りにした。2月に期限切れが迫った米ロの新戦略兵器削減条約(新START)の行方は宙に浮いたままだ。

トランプ政権時代に「お荷物」扱いされた欧州などの同盟国は、協力関係の立て直しに期待している。バイデン氏が模索するイラン核合意復帰の交渉は、米国の指導力復活の試金石となるかもしれない。

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バイデン次期政権

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