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天然ガスの長期契約、49年までに禁止 欧州委が提案

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委は15日、気候変動とエネルギー関連の法案を公表した。温暖化ガスの排出ゼロに向け、化石燃料を減らしてクリーンなエネルギー源を拡大する。柱の一つとして2049年までに原則として天然ガスの長期契約を禁止することを打ち出した。水素の利用拡大やビルの脱炭素に向けたルールも提案した。

EUは50年に域内の温暖化ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げる。中間点として30年には90年比55%減らす計画だ。11月に英グラスゴーで開かれた第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)では各国が一段の排出減に取り組むことで合意した。EUは先陣を切って具体化に動き出す。

天然ガスは石炭よりはクリーンなものの、二酸化炭素(CO2)は排出する。欧州委は49年までに長期契約を原則として終えるよう提案。安定供給などを目的とした1年未満の短期契約は認める。CO2の回収装置をつけている発電所なども例外になるようだ。

法案の成立には曲折もありそうだ。足元ではガス不足でエネルギー価格が高騰している。ドイツはロシアと結ぶパイプライン「ノルドストリーム2」が完成したばかりだ。加盟国から反対の声が出る可能性がある。16日のEU首脳会議でも議論される見通しだ。

欧州委は目標達成にはほとんどの化石燃料の利用をやめる必要があると主張する。ロシアへのエネルギー依存を減らせばEUが自立できるとみる。

天然ガスに代わるエネルギーの主力になるとみるのが水素だ。いまはコストや規制がネックとなっている。普及拡大に向けて国境を越えるガス配送管に5%を上限に水素を混ぜることも認める方向だ。

足元のエネルギー価格の高騰に対応した短期の対応策も示した。緊急時には有志国がガスを共同で備蓄したり、調達したりできるように制度を整える。EUでは一部の大国はガスを貯蔵しているものの、小国は関連施設を持っていない。各国が協力してガスを購入し、指定した場所に貯蔵できるような仕組みを設ける。

欧州委は建物部門の脱炭素化に関する改革案も公表した。住宅や商業ビルなどから出る温暖化ガスは全体の4割弱を占める。公共施設や商業ビルを27年以降に新築する場合は原則として「ゼロエミッションビル」にすることを義務づける。

ゼロエミッションビルはエネルギー消費が少なく、そのエネルギーも再生可能エネルギーなどでまかなえる建物だ。一般の住宅は30年までに義務づける方針だ。

既存の建物の脱炭素化にも取り組む。EU域内で最もエネルギー効率が悪い分類は15%ある。公共施設や商用の建物は27年まで、住宅は30年までに最も悪い分類からの改善を求める。

14日には輸送部門のグリーン化を進める対策を発表した。温暖化ガスの排出が少ない鉄道網の充実に力を入れる。欧州委によると、域内の国境を越えた旅客輸送で鉄道を使うのは7%にすぎない。30年には長距離鉄道の交通量を2倍にし、50年には3倍にする目標を掲げた。

欧州委は22年にまとめる法案で、加盟国ごとにばらばらの長距離鉄道の予約方法の改善策を盛り込む。国境を越えた鉄道旅行に課す付加価値税の免除も検討する。主要都市を結ぶ路線は40年までに時速160キロ以上で走行できるようにする。

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