原発・ガスの「持続可能」分類に反対 欧州議会委員会

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州議会の経済金融と環境の合同委員会は14日、持続可能な経済活動かどうかを示す「タクソノミー」に、天然ガスと原子力発電を含める欧州委員会案に反対する文書を採択した。同文書は今後、本会議で採決されるが、結果次第ではEUの従来方針が修正される可能性がある。
投票結果はガスと原子力を含めることに反対が76、賛成が62、棄権が4だった。
欧州議会は委員会が採択した文書を7月上旬の本会議で採決する。絶対過半数(353)を上回れば、欧州委案を拒否することになる。その場合、欧州委は同案を撤回するか修正する必要がある。
EUの欧州委員会は2月、どんな事業や製品が持続可能(サステナブル)かを示す「タクソノミー」案を公表した。一定の条件のもとで、原子力と天然ガスを脱炭素に貢献すると位置づけ、民間資金を同事業に誘導する狙いがある。
EUは2050年に域内の温暖化ガスの排出をゼロにする目標を掲げている。天然ガスは石炭よりもクリーンとはいえ、二酸化炭素(CO2)が排出されるほか、原子力は発電中はCO2は出ないが、有害な放射性物質が出るため、反対する声も根強い。
ただドイツは天然ガスを含めることを支持しているほか、フランスや東欧諸国は原子力に賛成だ。今後、水面下での調整が激しくなりそうだ。

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