クアルコム社長、「アーム上場なら出資も」 英紙に

【ロンドン=佐竹実】米半導体大手クアルコムが、英半導体設計アームが上場した場合に出資する考えがあることが分かった。クリスチャーノ・アモン社長が13日付英紙テレグラフのインタビューに答えた。アモン氏は、「もしアームが将来独立するのであれば、クアルコムを含めエコシステム内にある多くの企業がアームへの出資に興味を持つと思う」と述べた。
ソフトバンクグループ(SBG)傘下の非上場企業であるアームは、クアルコムやインテルなど世界の半導体大手に設計図を提供してライセンス収入を得ている。SBGと米エヌビディアは2020年9月、エヌビディアがアームを買収することで合意した。買収額は最大400億ドル(約4兆4千億円)で、エヌビディアは自社株式を対価の一部とし、SBGはエヌビディアの大株主となる計画だ。
英国や欧州連合(EU)などの競争当局が、業界の競争環境が保たれるかどうかなどを調べており、各当局の承認が買収成立の条件となる。クアルコムなどの競合企業は、エヌビディアがアームを傘下に収めれば圧倒的に有利な条件を持つ可能性があるなどとして懸念を示している。アモン氏は「我々や多くの企業にとって、独立したアームに出資することが恐らく最善だ」と述べ、買収に異議を唱えた。
アモン氏はアームについて、「ソフトバンクから独立し、多くの顧客を含めたコンソーシアムが出資する上場企業になれば、素晴らしい可能性を持つだろう」と話した。
SBGは16年、当時上場企業だったアームを約3兆円で買収して非上場化した。当時、数年後の再上場は選択肢の一つに入っていた。
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