ドイツ、対ロシアで米戦闘機F35調達 核共有に使用

【ベルリン=石川潤】ドイツのランブレヒト国防相は14日、米国の最新鋭ステルス戦闘機F35を調達する考えを表明した。老朽化したトーネード戦闘機の後継で、米国との「核共有」の枠組みのなかで核爆弾を搭載する任務も担う。ロシアのウクライナ侵攻を受け、ショルツ独首相が1000億ユーロ(約13兆円)を連邦軍に投資する考えを明らかにしていた。
独DPA通信によると、独政府は米ロッキード・マーチン製のF35を最大で35機購入する計画だ。独国防省によると、欧州では8カ国がF35の導入を進めており、北大西洋条約機構(NATO)の同盟国や欧州のほかのパートナーとの連携に最適と判断した。ランブレヒト国防相は装備の拡充に向けた「重要な一歩」を踏み出したと語った。
核共有はNATOの核抑止政策の一環で、米ソ冷戦期に採用された。ドイツ国内には米国の核爆弾「B61」が20基配備されているといわれ、有事になれば米国の同意のもとでドイツの戦闘機に搭載して使うことが想定されている。ドイツはF35を調達することで、核共有に今後も関与していくことを改めて明確にする。
ドイツの国防費は国内総生産(GDP)の1.5%程度に抑えられ、装備の老朽化も指摘されていた。ウクライナに侵攻したロシアへの警戒感が高まるなか、ショルツ独首相は2月27日に「自由と民主主義を守るために安全保障にもっと投資しなければならない」と述べ、国防費をGDP比で2%以上に高める方針を示していた。
第2次大戦の反省から平和主義が根強かったドイツで、大きな方向転換が進んでいる。ドイツは新しい天然ガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)の凍結やウクライナへの武器供与などにも踏み切り、ロシアとの対決姿勢を強めている。
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