気候変動、最大15%成長押し下げ アフリカ開銀が分析

【イスタンブール=木寺もも子】アフリカ開発銀行は、気候変動の影響でアフリカの1人当たりの経済成長が年に5~15%押し下げられているとの分析を明らかにした。アフリカでは近年、干ばつや洪水の被害が拡大している。2030年までの気候変動対策に必要な資金は1兆6000億ドル(約230兆円)不足しているという。
同銀行のチーフ・エコノミスト、ケビン・ウラマ氏は「アフリカの二酸化炭素排出量は世界全体の3%にすぎないが、気候変動の影響は甚大だ」と指摘する。
ウラマ氏によると、アフリカ各国は気候変動への対策として16~19年に183億ドルの資金援助を受けたが、このペースでは必要な金額に遠く及ばない。クリーンエネルギーに移行するまでの過渡期にはガス利用が継続して必要だとの認識も示した。
ケニア、ソマリア、エチオピアなどの東アフリカは過去40年で最悪とされる干ばつに見舞われ、食糧危機に陥っている。一方、南スーダンは19年以降、記録的な洪水が起きるなどアフリカ各地で気候災害が報告される。
アフリカでは11月にエジプトで国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)開催も予定されており、気候変動や資金不足に関する議論が活発化している。今月上旬にはカイロにアフリカ各国から閣僚級が集まり、先進国による投融資の拡大が必要だとする文書を採択した。