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トルコ中銀「苦渋」の金利据え置き 綱渡りの政策運営

通貨リラは依然不安定

3月20日に就任したトルコ中銀のカブジュオール総裁=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】トルコ中央銀行は15日、主要な政策金利の1週間物レポ金利を年19%で据え置くと決めた。利下げを望むエルドアン大統領が3月下旬に自らの主張に近い「ハト派」の総裁を据えた後、初の金融政策決定会合だったが、通貨リラの下落で利下げを断念した。同国ではインフレが加速しており、綱渡りの金融政策運営が続く。

カブジュオール総裁は3月20日未明の大統領令で、金融引き締めを志向した「タカ派」のアーバル前総裁に代わって就任した。アーバル氏は昨年11月から今年3月までの総裁期間中、1週間物レポ金利を計8.75%引き上げて19%とした。

カブジュオール氏はエルドアン大統領と同じく、通常の金融政策の考え方とは異なる「金利を下げればインフレ率は低下する」という主張をして、総裁に抜てきされた。就任後に利下げ観測が広がると、対ドルでリラが急落。その後もリラ安傾向は続いており、4月に入って以降は1ドル=8リラ台前半で推移していた。

会合後に公表された声明では、前回あった「必要があれば追加の引き締め策を行う」との文言が削除され、追加利上げの可能性が弱まったとの見方が広がった。声明を受け、リラは一時、ドルに対して前日比で約1%下落した。

エネルギーなどを輸入に頼るトルコでは、通貨安はインフレに直結する。消費者物価の前年同月比でみて、足元で16%台のインフレ率は総裁交代に伴うリラ安で4~5月に一段と高まるとみられている。中銀が利下げできる環境は遠のいており、市場では利上げの必要性を指摘する声も出ている。

トルコでは高インフレに加え、就職を諦めた人などを含む広義の失業率が3割近くにのぼるなど、国民の生活は厳しい。利上げは景気を冷やしかねない一方、利下げは通貨暴落によってインフレの加速を招きかねないというジレンマに陥っている。

新型コロナウイルスの感染者は直近、欧州・中東で最悪の1日あたり6万人超となり、年間5000万人が訪れる観光業の回復にも暗雲が広がる。ロシアは年700万人の観光客を送り出しているが、15日から6月1日まで直行便の大部分が停止となる。貿易赤字を穴埋めする観光収入の減少は、慢性的な経常赤字をさらに拡大させる恐れがある。

トルコは近年、金融引き締めの代わりに、通貨当局がドル売りリラ買いの為替介入を実施して通貨安に対抗してきた。為替介入で19~20年に費やした外貨準備は1000億ドル(約11兆円)超とみられる。それでもリラ安を止めきれず、対ドルの価値は17年の半分に下落した。アーバル氏は金融引き締めで通貨価値の回復を図ったが、5カ月弱で頓挫した。

トルコは経済成長に必要な資金を海外からの借り入れに頼っており、ひとたび資金流出が起きれば、外貨準備の心もとなさがリスクとして意識されやすい。

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