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トルコ、対米で融和演出 首脳会談、安保や人権は溝深く

14日、NATO首脳会議の会場で会談したトルコのエルドアン大統領㊧とバイデン米大統領(ブリュッセル)=ロイター

【イスタンブール=木寺もも子】トルコのエルドアン大統領は14日、バイデン米大統領と初の首脳会談に臨んだ。トルコは米欧との関係悪化による通貨安などに苦しんでおり、融和をアピールした。ただ、安全保障や人権問題などを巡る溝は深く、具体的な合意や成果は得られなかった。

同日、ベルギー・ブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議の後にバイデン氏と会談したエルドアン氏は「実りある率直な話ができた」と友好的な雰囲気を強調した。バイデン氏も「前向きで建設的だった」と述べた。

NATO加盟国で米国に次ぎ2番目の兵員を擁するトルコは、中東やロシアに近接する地政学的要衝で西側陣営の一翼を担ってきた。しかし、近年は米欧との関係が悪化している。2019年にNATOの仮想敵国であるロシアから地対空ミサイル「S400」を導入すると、米国から対ロシア制裁法に基づく経済制裁を受けた。

対米関係の悪化は、通貨リラの下落を招いた。対ドルなど主要通貨に対する価値は過去3年で半分近くに減った。2ケタ台のインフレは国民の生活を圧迫し、与党支持率は3割を切るなど過去最低水準を推移する。米欧の再接近で孤立も深まるなか、トルコ外交は修正を余儀なくされている。

バイデン氏との首脳会談は米国との緊張緩和への期待を高め、6月初旬に史上最安値を記録したリラは14日までに約5%回復した。この日は犬猿の仲で知られるフランスのマクロン大統領、ギリシャのミツォタキス首相との会談も実現した。

ただ、主にトルコ側が強調した融和ムードとは対照的に、記者会見や声明で具体的な合意や進展はみられなかった。最大の懸案のS400については、米国がトルコ国外への移転を求め、トルコは受け入れていない。制裁解除などに向けた解決の糸口は見つからないままだ。リラは会談後、下落に転じた。

バイデン氏はエルドアン氏が「民主主義の価値観」を脅かしかねないと警戒する。トルコ側の秋波に対する反応は冷淡で、就任後初の電話協議は4月下旬、米国がトルコの前身、オスマン帝国によるアルメニア人への「ジェノサイド(民族大量虐殺)」を認定するとの事前通告だった。

トルコ側もNATOが警戒を強める中ロへの接近をほのめかし、米欧への外交カードにしようとしているフシがある。14日にはロシアが開発した新型コロナウイルスワクチン「スプートニクV」が初めてトルコに到着したと報じられた。13日にエルドアン氏がブリュッセルに出発した際は、中国との通貨スワップ協定を拡大したことを明らかにした。

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