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北欧NATO加盟、トルコなお強硬 月内合意に不透明感

【イスタンブール=木寺もも子】北大西洋条約機構(NATO)は15~16日、ブリュッセルで国防相理事会を開く。新たに加盟申請したスウェーデン、フィンランドも参加するが、両国によるクルド系組織への支援などを理由に拒否権をちらつかせるトルコの姿勢はなお強硬だ。当初のめどとされた月末のNATO首脳会議までに合意できるかは見通せない。

「首脳会議を期限としていたわけではない」。ストルテンベルグ事務総長は12日、訪問先のフィンランドで、今月29~30日に開かれるNATO首脳会議までに北欧2国の加盟で合意できない可能性を示唆した。

集団的自衛権を明記するNATOへの新規加盟には、既存の全加盟国の賛成が必要だ。加盟はすんなり認められるとみられたが、2国がクルド系の「テロ組織」を支援しているとしてトルコが異を唱えた。

少数民族クルド人の独立を目指す非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)の武装闘争では計4万人が死亡したとされ、トルコのアレルギーは強い。一方、スウェーデンを含む欧州や米国はトルコがPKKと同一視する人民防衛隊(YPG)などをシリアでの対テロ作戦などで支援してきた。

このため、トルコは北欧2国の加盟の条件としてクルド系活動家の引き渡し、政治活動の禁止、トルコが2019年に越境してシリアのYPGを攻撃したことで科した武器輸出制限の解除などを要求している。

スウェーデンのアンデション首相は13日、トルコの懸念を「きわめて真剣に」受け止めているとして、7月の法改正でテロ対策を強化するなどと表明した。同国を訪れたストルテンベルグ氏も「スウェーデンはトルコの懸念に対応し、重要な措置を講じている」と強調した。

ただ、スウェーデンの低姿勢にもトルコはなお納得していない。エルドアン大統領は15日、「明瞭、具体的、決定的な対テロ措置を取るまで我々の姿勢は変わらない」と述べ、強硬な姿勢を崩さなかった。

70%を超える高インフレで国民の不満に直面するエルドアン氏の支持率は5月、前月から2ポイント増の44%、不支持率は6ポイント減の47%となった。調査を行ったメトロポール社はNATO加盟問題での強硬外交が寄与したと分析する。

2国の中でもスウェーデンには10万人のクルド系住民が暮らし、議会では与党勢力が多数を維持するためのキャスチングボートをクルド系議員が握る。人権国家として、司法制度の運用が不透明なトルコに活動家を引き渡すのも困難とみられる。

加盟交渉が思うように進まぬ中、ロシアと国境を接するフィンランドは独自の防衛強化を急ぐ。政府は9日、法改正を行って国境沿いにフェンスを設置するほか、国境沿いの道路整備を進めるなどの案を公表した。

専門家の間では、最終的にはトルコも2国の加盟を認めるとの見方が多い。調査会社ユーラシア・グループのエムレ・ペケル欧州部長は「エルドアン氏は(見返りとして)国内向けに誇示できる成果を要求するだろう」とみる。

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