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独大手銀、分かれた明暗 大胆リストラ、再建のカギに

【ベルリン=石川潤】2020年決算で独大手のドイツ銀行が6年ぶりに純利益を計上する一方、ライバルのコメルツ銀行は大幅赤字に転落した。ドイツを代表する2行の明暗を分けたのが、低収益からの脱却に必要なリストラの取り組みだ。銀行過剰(オーバーバンキング)と長引く超低金利がより大胆な一手を促している。

「まだやるべきことがあるが、正しい方向に進んでいる」。ドイツ銀行のゼービング最高経営責任者(CEO)は4日、20年の純損益が1億1300万ユーロ(約140億円)の黒字になったと発表した直後、社内向けにこんなメッセージを送った。再建が順調だとし、社員の「献身的な取り組み」に感謝した。

経営不安もささやかれたドイツ銀行を黒字に押し上げたのが、19年7月に発表したリストラ計画だ。全社員の2割にあたる1万8000人を削減し、株式売買業務から撤退するという大胆な策が奏功。20年の経費は19年に比べて15%減少した。

リストラを主導したゼービング氏は10代でドイツ銀行に入行したたたき上げだ。赤字続きのドイツ銀再建という難題に大物バンカーが尻込みするなか、18年4月に40代の若さでCEOに就いた。19年4月にコメルツ銀との統合交渉が破談になると、ドイツ銀を誰よりもよく知る同氏がリストラ計画をまとめ、社員を引っ張ってきた。

収益も19年の前年比8%減から20年は同4%増に転じた。リスクが高く利益が不安定な投資銀行部門を縮小し、顧客取引重視に転じた結果、安定した利益を生み出しつつある。

数兆円規模の利益を稼ぎ出す米投資銀行との差は依然として大きい。ただ、リストラの一番厳しい局面が終わり、今後は「ビジネスにさらに集中できる」というのがゼービング氏の考えだ。

対照的にリストラで後手に回ったのがコメルツ銀行だ。20年決算はリストラ費用などで28億7000万ユーロ(約3600億円)の純損失を計上。1月に就任したばかりのクノッフCEOは11日に「徹底したリストラを数年かけて実施する」と表明した。

コメルツ銀は中小企業取引に強みを持つドイツの名門銀行だが、1700以上の金融機関がひしめくドイツの過当競争に苦しみ続けてきた。さらに、コロナ禍で欧州中央銀行(ECB)のマイナス金利政策の長期化が避けられない情勢となり、収益改善の見通しが立ちにくくなっていた。

「耐えられない怠慢と傲慢さ」。コメルツ銀の大株主である米ファンドのサーベラスは20年6月、経営再建の道筋を描けない当時の経営陣を強烈に批判していた。監査役会会長とCEOが辞任に追い込まれ、人員削減に及び腰だった同行も、リストラ路線にカジを切らざるを得なくなった。

ベルリン市内のコメルツ銀行の店舗(20年10月)

クノッフCEOが新たに打ち出したリストラ計画は1万人を削減し、店舗の4割強を閉じるという苛烈さだ。2年前にドイツ銀とコメルツ銀の統合交渉が破談となった理由の一つが3万人規模のリストラへの労組の反発だったが、結局は両行合計で同規模の人員削減を余儀なくされた。

ドイツ銀行の経費率は88.3%で、9割を超えていたリストラ計画前より低下したが、なお高い水準にある。コメルツ銀行も8割程度の高水準だ。単独でのリストラだけでなく、欧州内での銀行再編などが今後の課題となる。

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