ウクライナ軍、300集落・15万人解放 ハリコフ州で

【ウィーン=細川倫太郎】ロシアのウクライナ侵攻で、同国軍の反撃が勢いを増している。マリャル国防次官は13日、東部ハリコフ州で6日以降に300以上の集落を奪還し、約15万人を解放したと発表した。米欧はウクライナ軍への武器供与を続け、さらなる進撃を支援している。
マリャル氏は「目標はハリコフ州の完全な解放で、我々は近い将来に実現できると信じている」と強調した。同氏によると、ハリコフ州で奪還した面積は、東京都の約1・7倍に相当する3800平方キロメートルにのぼる。
ハリコフ州はロシア軍にとって東部戦線の補給路となっており、軍事戦略上、重要な意味を持つ。米シンクタンクの戦争研究所の分析によると、ウクライナ軍は同州のロシア軍制圧地域のほぼ全域を奪還した。今春に首都キーウ(キエフ)周辺からロシア軍を完全撤退させたことに続く大きな戦果となる。
ウクライナ軍はロシア軍が完全制圧した東部ルガンスク州でも巻き返しを図っている。同州のガイダイ知事は13日、クレミンナ市で「ウクライナ国旗が掲げられている」と通信アプリに投稿し、ロシア軍が同市から撤退したと表明した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は13日に公開したビデオ演説で、解放された地域では治安が回復しつつあると述べた。「我々の軍隊や旗とともに普通の生活がもたらされることが非常に重要だ」と強調し、このほど奪還したハリコフ州バラクレヤなどで支払えなかった年金を一括で払い始めたと説明した。
ウクライナ軍の軍事作戦が成功しているのは、高機動ロケット砲システム「ハイマース」など米欧から供与された大型の武器を有効活用している点が大きい。
ロイター通信によると、米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は13日、バイデン米政権がウクライナに対する追加の軍事支援策を近いうちに発表する可能性が高いと述べた。イタリアのドラギ首相は同日のゼレンスキー氏との電話協議でウクライナへの継続的な支持を表明した。
一方、ロシアは兵員や武器の不足が課題になっているとされる。英国防省は14日、ロシアはイランや北朝鮮など厳しい制裁が科されている国からの武器の調達を増やしているとみられると指摘した。

2022年2月にロシアによるウクライナへの軍事侵攻が始まって1年になります。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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