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東アフリカ、食糧難1300万人 ウクライナ危機が拍車

【カイロ=久門武史】ソマリアなど東アフリカ各国が干ばつで食糧危機に陥っている。国連は1300万人が深刻な食糧難に直面していると明らかにした。ロシアのウクライナ侵攻による穀物の値上がりのしわ寄せが貧困国に真っ先に及んでおり、異常気象がもたらした苦境に拍車がかかっている。

深刻さが際立つのが「アフリカの角」と呼ぶ大陸東端にあるソマリアだ。同国で人道支援を調整する国連のアダム・アブデルムーラ氏は3月末、5歳以下の140万人の子どもが栄養不足だとし「対処しなければ35万人が夏までに命を落とす」と訴えた。

ソマリアでは降水不足の雨期が続いており、4月に始まる次の雨期も平年以下と見込まれている。人口1600万人の国で干ばつの直接の被害が450万人に及び、70万人近くが住む家を離れたと国連はみている。渇水で農業が難しくなり家畜の損失も大きく、生計の手段を失う人も膨らんでいる。

国連世界食糧計画(WFP)は「アフリカの角は1981年以来で最も乾燥した状態にある」と指摘した。ソマリアの隣国ケニアでは政府が2月、310万人が食糧不足に陥っていると推定した。エチオピアのソマリ州では、干ばつで家畜100万頭以上が死んだと伝えられた。

追い打ちをかけるのが、ロシアのウクライナ侵攻による穀物などの価格上昇だ。国連食糧農業機関(FAO)が8日発表した3月の世界の食料価格指数(2014~16年=100)は159.3と前月比17.9ポイント上昇した。穀物や植物油が大きく値上がりし、2カ月連続で過去最高を更新した。

ロシアとウクライナの小麦輸出は世界全体の3割を占め、アフリカには両国に依存する国が多い。FAOによるとソマリアは輸入小麦の9割、アフリカ東部のエリトリアは全量をロシアとウクライナに頼っている。

アフリカ開発銀行は3月、域内の小麦などの増産に向け10億ドル(約1260億円)を充てる計画を明らかにした。自給率を高める追い風になるが、目下の危機への対応策にはならない。国際非政府組織(NGO)オックスファムは、ウクライナの戦闘による食糧供給の混乱について「最も貧しく弱い人々が真っ先にひどい打撃を被る」と指摘。「東アフリカに時間の猶予はない」と国際社会の支援を訴えた。

東アフリカではかねて食糧不安を高める混乱があった。エチオピアは20年からの反政府勢力との戦闘で、北部ティグレ州への食糧供給が著しく滞った。ケニアでは21年にかけてサバクトビバッタが大量発生し、農作物を食い荒らした。ソマリアでは政情の混迷が長引き、イスラム過激派の活動も活発になっている。

ただでさえサハラ砂漠以南のアフリカ諸国は、新型コロナウイルスで落ち込んだ経済の回復が鈍い。WFPは3月下旬に「世界的な供給不足で食糧の国際価格はさらに8~22%上がる可能性がある」との見方を示しており、輸入国の財政や家計をいっそう圧迫する可能性が高い。

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