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ロシア、エネルギー輸出収入13兆円確保 侵攻後100日で

(更新)

【ロンドン=篠崎健太】フィンランドのシンクタンクCREAは13日、ロシアがエネルギー輸出で得た収入が、2月下旬のウクライナ侵攻開始から100日で930億ユーロ(約13兆円)に上るとの推計を公表した。欧米などの経済制裁は販売量の減少や代替輸出先への値引きで一定の効果を生んでいる。だが国際相場の上昇を背景に収入は大きく伸びており「軍事力強化と侵略を支える重要な存在になっている」と警告した。

ロシア中央銀行によると、同国の2021年の石油・ガス輸出額は約2440億ドル(約33兆円)だった。ウクライナ侵攻前の年間輸出の約4割にあたる収入を直近3カ月あまりで稼ぎ出したことになる。

CREAは船舶やパイプラインの輸送データ、市場価格などを基に、ロシアがウクライナ侵攻を始めた2月24日から6月3日まで100日間の輸出収入を試算した。主な化石燃料の原油、石油製品、天然ガス、石炭が対象だ。全体の930億ユーロのうち欧州連合(EU)の加盟国向けが570億ユーロと約6割を占めた。

ウクライナ侵攻後、欧米諸国はロシア産エネルギーの調達自粛や禁輸に動いた。CREAの分析では5月の化石燃料輸出量は侵攻前と比べて15%縮んだ。ロシア産原油の代表的な油種「ウラル」は、国際指標の北海ブレントより1バレルあたり35ドルほど割り引かれて取引されている。

一方で供給不安で国際相場が大きく上昇した結果、ロシアの輸出収入はそうしたマイナス影響を埋めて潤っている。5月の推定収入は1日平均8億8300万ユーロと前年同月より2.5億ユーロ(4割)増えた。

国別でロシアからの購入量が最も多いのは中国の126億ユーロで、2位はドイツ(121億ユーロ)だった。上位にはイタリア(78億ユーロ)、オランダ(同)、トルコ(67億ユーロ)、ポーランド(44億ユーロ)が続く。

欧米が調達を減らす裏で、割安感に着目して調達を急拡大しているのがインドだ。原油ではロシアの輸出量の2割近くを占めた。CREAはインドに持ち込まれた原油を精製した石油製品が米国や欧州に多く輸出され、制裁の抜け道になっていると指摘した。

中国やインドなどへの輸出が増えれば欧米の制裁効果は薄れてしまうが、ロシアが狙う代替市場確保の弱点は輸送インフラにある。従来よりも長い距離を海上で運ぶ必要があり、それを担うタンカーは欧州勢が多くを握っているためだ。

分析では4~5月にロシア産原油を輸送したタンカーの7割はEU、英国、ノルウェーの企業が所有していた。船舶保険の大半は英国、ノルウェー、スウェーデンの3カ国から提供されていた。CREAは「ロシア産原油を運ぶタンカーへの強力な制裁は迂回余地を大きく制約する」として、船舶や保険に対する制裁強化が有効だとの見方を示した。

EU加盟国は5月下旬の首脳会議で、ロシア産石油の輸入を禁じる追加制裁に合意した。海上輸送を対象に禁輸し、EUのロシア産輸入量の9割を年末までに止める。今後の制裁メニューとしてロシア産石油を運ぶ船舶への保険提供禁止も浮上している。

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