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トルコ政権、価格統制に躍起 市場は政策金利の行方注視

小売店に圧力

【イスタンブール=木寺もも子】高インフレに直面するトルコのエルドアン政権が食料品や日用品価格の上昇抑制に躍起になっている。国民の不満が募り、与党支持率が過去最低水準に落ち込んでいるためだ。ただ、インフレの主因は政府主導の金融緩和にあるため、価格統制策よりも21日の中央銀行金融政策決定会合での決定の行方に注目が集まっている。

「安価で高品質の商品で市場は安定するだろう」。今月上旬、農業団体の直営スーパーを視察したエルドアン大統領は、現在約500店の店舗を1000店に増やすよう指示し、インフレ抑制に取り組む考えを強調した。

当局は9月下旬、流通価格をつり上げているなどの疑いで大手スーパー5社の調査に乗り出した。当局の担当者がスーパーで価格を調査する様子もメディアで大きく報じられた。

政府が小売店での価格統制やアピールに躍起なのは、国民の不満が増しているためだ。イスタンブール経済研究所の世論調査によると、与党・公正発展党への支持は10月に、過去最低の23%に落ち込んだ。政党別ではトップだが、主要野党の支持率を合計すれば逆転される。

同研究所のジャン・セルチュキ代表は「与党支持の低迷は2020年秋からの傾向で、原因はインフレと失業率の悪化による生活苦だ」と分析する。

9月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比19.6%増と、4カ月連続で上昇した。特に食料品の値上がりが顕著で、イスタンブール市内のスーパーによると、卵や鶏肉は過去1年で8~9割、調理用のひまわり油は2倍超に値上がりした。2カ月に1度は価格改定が必要だという。

価格安定への政府の介入が功を奏するかは疑わしい。小規模スーパーチェーンの男性店長は「うちにも価格や流通経路の監査が入ったが、何の瑕疵(かし)も出てこなかった」と肩をすくめる。通貨リラの下落で商品や梱包材などの仕入れ価格が上昇し、転嫁せざるを得ないと主張する。

リラは対ドルで20年末から2割下落した。エネルギーを輸入に頼るトルコでは、通貨安はあらゆる物価高に直結する。

だが、政府の対応は異なる。経済成長を優先するエルドアン氏は「高金利はインフレを引き起こす」という、経済学の主流と反対の主張を展開する。圧力を受けた中銀は9月、物価上昇中にもかかわらず主要政策金利を19%から18%に下げた。

エルドアン氏は過去2年半で意に沿わない中銀総裁3人を交代させ、今月14日には副総裁2人を含む金融政策決定会合メンバー3人を更迭した。21日の政策決定会合を前に、さらなる介入と利下げへの観測から、リラは連日、対ドル最安値を更新している。

国際通貨基金(IMF)は12日、21年通年のトルコの国内総生産(GDP)成長率予想を従来の5.8%から9%に引き上げた。政府は新型コロナウイルス禍からの急回復を誇るが、インフレと通貨安に苦しむ国民の支持回復につながるかは不透明だ。

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