イラン、女子生徒狙った毒物被害 100人超を逮捕

【ドバイ=福冨隼太郎】イラン各地の女子校などで有毒物質によるとみられる中毒被害が相次いだ問題で、イラン内務省は13日までに、容疑者100人以上を逮捕したと発表した。イラン国営通信が伝えた。騒動を巡っては国内外から真相究明を求める声があがっており、当局は捜査を進めて混乱の拡大を抑える考えとみられる。
内務省の声明によると、逮捕者が出たのはテヘランや、最初に騒動が報じられた中部コムなど11州。
容疑者の詳細は明らかにしていないが、多くのケースでは人々に不安や恐怖を生み出す目的や、いたずらにより学校を閉鎖する目的で無害な物質が使われたと強調した。一方で、騒動を通じて体制に悲観的な考えを国民に持たせようとした人物らも含まれているとも主張し、テロ組織とのつながりを調べているという。
イランメディアなどによると、2022年11月以降、テヘランなどイラン各地で女子生徒らが相次いで頭痛や倦怠(けんたい)感、手足のしびれなどを訴える騒ぎが相次いだ。これまでに5千人以上が被害にあったとの報道も出ている。多くは軽症だが、保護者が子どもを学校に登校させない動きが出るなど、動揺が広がっていた。
イランの最高指導者ハメネイ師は6日、「許しがたい犯罪で、犯人は厳しく罰せられるべきだ」と指摘。パナヒ副保健相は、女性の教育や社会進出に反発する宗教勢力が背後にいる可能性を示唆していた。
22年9月以降にイラン各地で広まった反スカーフデモに反感を持ち、抗議の担い手となった若い女性を狙った勢力がいるとの見方も出ている。
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