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ドイツ緑の党、政権奪取へ巻き返し図る 首相候補決定

首相候補指名後に演説するドイツの緑の党のベーアボック共同党首(12日)=ロイター

【ベルリン=石川潤】ドイツの環境政党、緑の党が11~13日に開いた党大会でベーアボック共同党首を9月の連邦議会選挙(総選挙)に向けた首相候補に正式に選出した。緑の党は環境意識の高まりを追い風に一時は支持率で首位に立ったが、最近では新鮮さが売りだったベーアボック氏の人気が衰え、逆風が強まっている。環境政策の強化などの公約をまとめ、巻き返しを目指す。

「私たち、とりわけ私の間違いで逆風が吹いた」。ベーアボック氏は12日の首相候補指名直後の演説で、自らのミスを認めた。同氏を巡っては、一部の収入を定められた通り議会に報告していなかったことや経歴の訂正などの問題が浮上。政界刷新を唱える清廉な首相候補というイメージに傷がついた。

環境政策がガソリン料金の値上がりにつながるとの警戒もあり、緑の党の支持率は下がり気味だ。独インフラテスト・ディマップが10日公表した調査では、メルケル首相の与党、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)の支持率が5月より4ポイント高い28%となる一方、緑の党は5ポイント低い20%で逆転を許した。

再び浮上できるかは、13日までの党大会でまとめた選挙公約がカギになる。温暖化ガスの2030年の削減目標はメルケル政権の65%よりも厳しい70%とするなど、環境政策が柱だ。ガソリン価格上昇などの負担を軽減するため、炭素排出に価格を付ける制度で得られた収入を市民に還元する。最低賃金は現在の9ユーロ台から12ユーロに引き上げ、所得税は高所得者により重い仕組みとする。

環境政策や最低賃金などでより思い切った政策を求める声もあったが、党大会で退けられた。極端な政策を並べれば穏健な支持層が離れ、緑の党の政権担当能力への疑いや不安を強めかねないからだ。支持の裾野を広げるためにも、比較的現実的な公約にとどめたといえる。

外交分野では、新疆、チベット、香港での「明白な人権侵害」を終わらせるように中国に求めた。台湾についても住民の意思に反した統一は許されないとの考えを示した。ベーアボック氏は演説で、デジタル分野の重要インフラの構築で中国に依存することへの危うさも指摘した。

ドイツとロシアを直接結ぶガスパイプライン計画(ノルドストリーム2)については「間違い」だと明言した。化石燃料の輸入増は温暖化対策に反するうえ、現在ガスの通り道となっているウクライナなどの立場を弱めることになるためだ。

9月の総選挙では16年続いたメルケル路線の継続か変化かを、CDU・CSUの首相候補のラシェット氏とベーアボック氏で争うことになる。ドイツでは最大の懸案だった新型コロナウイルスの感染にブレーキがかかり、レストランや店舗の再開で日常が戻りつつある。経済の先行きの明るさが増すにつれて、これまで低迷していたCDU・CSUの支持率が回復しつつある。

6日投開票の旧東独のザクセン・アンハルト州の州議会選挙では、CDUが圧勝し、緑の党は第6党にとどまった。緑の党が政権を奪取するには、都市部の比較的豊かな層のための政党というイメージを覆し、支持を広げられるかがカギになる。

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