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相次ぐ工期遅延、原発回帰のフランス政府に打撃

【パリ=白石透冴】フランス電力公社(EDF)は12日、仏北西部フラマンビル原発で建設中の欧州加圧水型原子炉(EPR)の完成が遅れると発表した。2007年に着工し12年の完成を目指したが、遅延を繰り返している。このほど原発推進にかじを切ったマクロン政権にとっては、出ばなをくじかれた格好となった。

EDFは「操業の準備などの進捗からして、事業日程を見直さざるをえない」と発表した。最終的な工程である燃料装填の時期は22年末から23年4~6月に延期する。総事業費も現計画の124億ユーロ(約1兆6千億円)から127億ユーロに増える。07年時点では総事業費を33億ユーロと見積もったが、幾度となく見直している。

同社が出資する中国広東省台山市のEPRで21年に燃料棒が破損するトラブルがあり、この経験を設計に盛り込むためなどとしている。原子炉の溶接工程に時間がかかっているほか、新型コロナウイルス禍も影響していると説明した。仏業界紙によると、EDF幹部は「EPRのモデルに問題があるわけではない」としている。

マクロン大統領は21年11月、07年を最後に実施していなかった原発の新規着工を再開すると発表した。EPRや発電規模の小さい原子炉「小型モジュール炉」を複数建設する考えだ。フランスは11年の福島第1原発の事故などを受け原発依存度を7割から5割に下げるとの目標を掲げてきたが、原発推進に回帰した。

気象条件で発電量が左右される再生可能エネルギーだけでは安定的な電力供給は難しいと考えているのが理由だ。欧州連合(EU)も温暖化対策で原発が不可欠と考えるようになっており、欧州委員会は1日に原発を脱炭素に貢献するエネルギーと位置づける方針を発表した。

ただEPR建設はフィンランドでも工期が大幅に遅れて巨額の赤字を出した。計画の見直しが相次げば、今は原発推進を支持する仏世論にも不安が広がりかねない。

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