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グリーンシル問題、英政界に波及 キャメロン氏ら調査へ

キャメロン氏は英グリーンシルの顧問を務めていた(2016年6月、首相辞任を表明した記者会見)=ロイター

【ロンドン=篠崎健太】3月に経営破綻した英金融会社グリーンシル・キャピタルをめぐり、英国のキャメロン元首相が同社救済へ向けて現政権に働きかけていたことが波紋を広げている。新型コロナウイルスに対応した公的な企業支援策を受けられるよう、スナク財務相と連絡を取っていたことが明らかになった。英政府は同社の経営実態やキャメロン氏の行動について、独立した委員会をつくり調査に乗り出す。

グリーンシルは企業の売掛債権を流動化する「サプライチェーンファイナンス(SCF)」を手掛けていた。提携先のファンドから取引を止められたことが引き金となり、今年3月8日に経営破綻した。

キャメロン氏は新型コロナが同社の事業に暗雲を広げるなか、イングランド銀行(中央銀行)のコマーシャルペーパー(CP)買い入れ策の対象にならないか、財務省に打診していた。実現はしなかったが、この過程でスナク財務相の個人の携帯電話に直接連絡を取るなどしており、元首相の立場や人脈を使った「ロビー活動」が疑念を生んでいる。

グリーンシルはCP買い入れの対象にはならなかったものの、政府系金融機関である英国ビジネス銀行を通じた政府保証付き支援融資の窓口に認定されていた。財務省は8日、スナク財務相がキャメロン氏に送ったメッセージの一部を公表。2020年4月23日には「うまく行くかもしれない代替案を銀行と検討するようチームに働きかけた」と返信していた。

英首相官邸の報道官は12日、ジョンソン首相が「政府の活動についての完全な透明性を確保するため」調査を指示したと説明した。独立委員会の調査ではキャメロン氏の呼びかけを受けた政府側の対応も焦点となる。

政界では一連の問題に対する批判や追及の声が強まっている。最大野党・労働党は12日「グリーンシルの制度へのアクセスを手助けするために何を働きかけたのか知る必要がある」として、スナク氏に13日の議会下院に出席して説明するよう要求した。ロビー活動に関するルールの見直しを求める声も上がっている。

グリーンシルの与信は、英実業家サンジーブ・グプタ氏が率いるエネルギー複合企業、GFGアライアンスに多く注がれていた。英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)はGFG側への融資に使われた債権が一部虚偽だった可能性を伝えており、破綻に至る背景に不明朗なカネの流れが取り沙汰されている。

キャメロン氏は16年7月、自ら提起した英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票で「離脱」が決まったのを受けて首相を辞任した。同年9月に政界引退後は自伝の執筆や慈善事業などの傍ら、18年8月からグリーンシルの顧問に就いていた。

キャメロン氏は4月11日、グリーンシル問題で破綻後初めて声明を出し、あくまで非常勤の顧問で「経営の監督や日々の事業には関わっていなかった」と強調した。顧問を引き受けたのは「起業家精神のある初期の金融テクノロジーベンチャーで働きたかった」ためで、運転資金の効率化に貢献する有望企業だったと説明した。

政府への働きかけについては、誤解を招かないよう公式ルートを通すべきだったと陳謝した。自ら動いた理由については「困難な時期にある英産業界に大きく資すると心から信じていたからだ」などと釈明した。声明ではSCFのビジネスモデルがいかに優れていたか繰り返し、自身の責任には言及しなかった。

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