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パリ協定5年、脱炭素へ決意 首脳級オンライン会合

(更新)

【ロンドン=篠崎健太】地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の採択5周年を記念する首脳級のオンライン会合が12日、英仏と国連の主催で開かれた。70を超す国や地域の首脳がビデオ演説し、気候変動対策に取り組む決意や目標を表明した。菅義偉首相は2050年までに温暖化ガス排出量を実質ゼロにする日本の方針を説明し「グリーン社会の実現に努力していく」と訴えた。

15年12月に採択されたパリ協定は、世界の気温上昇を産業革命前と比べて2度未満、できれば1.5度以内に抑えることをめざす取り決めだ。「気候野心サミット」と名付けられたオンライン会合は、21年11月の第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)に向け、温暖化対策への意識を高めようと開かれた。

「パリ協定の目標達成にはほど遠い状況だ」。国連のグテレス事務総長は会合の冒頭でこう語り「方向を変えなければ壊滅的な気温上昇に直面することになる」と危機感を示した。温暖化ガス排出量の実質ゼロ実現へ、取り組みの加速と連帯を世界に呼びかけた。

菅首相は「温暖化への対応は経済成長を妨げるものではなく、むしろ大きな成長につながる」と語った。温暖化ガス排出量を50年までに実質ゼロにする目標のもと、次世代太陽電池やカーボンリサイクル、水素などの技術革新を推進すると強調した。世界の脱炭素化の支援へ20年に官民で1.3兆円規模の支援を実施すると説明した。

中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は「30年までに国内総生産(GDP)あたりの二酸化炭素(CO2)排出量を05年比で65%超削減する」との新たな目標を示した。従来の「60~65%減」から引き上げた。「1次エネルギー消費に占める非化石燃料の比率を25%程度に引き上げる」などとも表明した。習氏は9月の国連総会の一般討論演説で、CO2排出量を60年より前に実質ゼロにすると宣言している。

各国首脳のメッセージで目立ったのは、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ経済の回復と成長を環境政策の強化でめざす「グリーンリカバリー(緑の復興)」の視点だ。主催した英国のジョンソン首相は脱炭素の推進を通じて「世界全体で数十万、数百万の雇用を生み出せる」と語り、「グリーン産業革命」の主導に意欲を示した。

温暖化ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」をめざし、中間計画として30年時点の目標を強化する動きが相次いでいる。欧州連合(EU)は10~11日の首脳会議で、域内の排出量を30年までに1990年比で55%減らす目標で合意し、従来の40%から踏み込んだ。英国は4日に同期間の削減目標を90年比53%減から68%減へと引き上げた。菅首相は演説で、30年までの日本の取り組みについてCOP26までに国連に報告すると述べた。

パリ協定を離脱した米国は会合を欠席した。ただ米大統領選で当選を確実にしたバイデン前副大統領は採択5周年に関する声明を同日出し「大統領就任初日にパリ協定に再参加する」と述べた。政権発足後速やかに復帰手続きに着手する構えだ。

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