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英マイナス9.9%成長 20年、減少率311年ぶり大きさ

新型コロナ対策の都市封鎖が長期化

(更新)

【ロンドン=篠崎健太】英統計局が12日発表した2020年の実質国内総生産(GDP)の速報値は前年から9.9%落ち込み、減少率は1709年以来311年ぶりの大きさになった。新型コロナウイルスを抑え込むためのロックダウン(都市封鎖)が長引き、個人消費や企業の生産活動が大きく損なわれた。

英国の実質成長率が通年でマイナスになるのは、金融危機の影響を受けた09年(4.1%減)以来11年ぶり。英イングランド銀行(中央銀行)の長期統計も含めて遡ると、大寒波で混乱した1709年(13.4%減)以来の大幅な経済縮小率になった。

支出面でGDPの6割強を占める個人消費は10.7%減、政府支出は5.7%減で、それぞれデータがある1949年以降で最大の減少となった。民間の設備投資を含む総固定資本形成は8.7%減り、09年(11.9%減)以来の縮小規模だった。

英国は20年3月下旬、新型コロナ対応で初めてのロックダウンに入り、生活必需品や医薬品の販売を除き、ほとんどの商業施設が閉じた。ロンドンを含むイングランドでは小売店が6月半ば、飲食店は7月上旬まで休業した。感染拡大が落ち着いた夏場に旅行や外食が盛り返したが、11月には感染が再び拡大し、新たに約1カ月間のロックダウンを迫られた。

20年通年の実質成長率のマイナス率は英国が、ユーロ圏(6.8%)やドイツ(5.0%)、フランス(8.3%)よりも深刻だ。英国の20年の実質GDPを生産面からみるとサービス業が8.9%減、製造業は9.9%減。最初のロックダウン解除が遅れた影響が大きい。

英国の20年10~12月期の実質GDPは前四半期比で1.0%増えた。個人消費は0.2%減だったが、政府支出や設備投資が伸び、2四半期連続で前四半期比のプラスを確保した。英国では21年初めから幅広い地域がロックダウンの対象。1~3月期は再び、前四半期比でマイナス成長に転じると確実視されている。

イングランド銀は21年の英国の実質成長率をプラス5%と予測している。新型コロナワクチンの接種が先進国の中でも早く進み、4~6月期以降は景気が急回復するとの期待が金融市場で高まっている。英キャピタル・エコノミクスのトーマス・ピュー氏は「(4~6月期は)パブやホテル、レストランでの支出が増えて家計消費が最も力強い部門に転じる」と予想する。景気の先行きはワクチンの成果に大きく左右されそうだ。

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