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EU、ユーロ圏成長率を上方修正 21年4.3%に

(更新)
欧州ではロックダウン解除が進み始めた(4月28日、オランダのユトレヒト)=AP

【ベルリン=石川潤】欧州連合(EU)の欧州委員会は12日、春の経済見通しを公表した。新型コロナウイルスワクチンの普及で景気回復が力強く進むと判断し、2021年のユーロ圏の実質成長率予測を2月時点の3.8%から4.3%へと大幅に上方修正した。物価も21年後半に一時的に2%を超える。ただ域内総生産(GDP)のコロナ前水準回復は22年になる見込みで、米国などとの差は依然大きい。

欧州委員会は年4回、経済見通しを公表している。欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長は発表文で「欧州経済の先行きはかなり明るくみえる」と指摘した。22年の成長率予測も前回2月の3.8%から4.4%とした。四半期別では21年4~6月にプラス成長に戻り、年後半から成長が加速するシナリオを描いた。

物価上昇率の見通しも21年が1.7%で、前回2月の1.4%から上方修正した。四半期別ではエネルギー価格の上昇やドイツの付加価値減税終了の反動もあり、21年後半に前年比2%に達する。ドイツに限れば、年末までに物価上昇率が3%を超える見通しを示した。

もっとも特殊要因がなくなる22年以降は物価上昇が一服し、22年の上昇率は1.3%に戻るとみる。エネルギー価格の先行きなどは不透明だが、雇用の回復と賃上げの広がりにはなお時間がかかるとみられるためだ。

欧州経済は新型コロナの感染拡大で、21年1~3月まで2四半期連続のマイナス成長に陥った。足元では遅れていたワクチン接種がようやく加速し、各国でロックダウン(都市封鎖)解除が進む。成長率の上方修正は経済正常化に向けてようやく明るい見通しが立ち始めたことを示している。

21年の成長率を国別でみるとドイツが3.4%、フランスが5.7%、イタリアが4.2%だった。EU全体の成長率は21年が4.2%、22年が4.4%と見込んでいる。

もっとも、景気回復の速度では米国に大きく後れをとっている。EUの7500億ユーロ(約100兆円)規模の復興基金は夏ごろに資金配分が始まる見込みだが、200兆円規模の財政出動に踏み切った米国より規模で下回り、スピード感にも欠ける。

欧州の財政・金融政策は当面、危機対応を継続せざるを得ないとの見方が多い。物価上昇率は欧州中央銀行(ECB)が目標とする「2%近く」に一時的に到達するが、持続的な物価上昇とはほど遠く、ECBは引き続き異例の金融緩和策を維持するとみられる。

ECBは6月の政策理事会で国債の買い入れペースなどについて議論する。金融市場が落ち着いているため夏以降の買い入れペースを現状よりも落とす可能性があるが、金融緩和の出口はまだ先との姿勢を強調するとみられている。

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