米欧、ウクライナ防空能力増強を支援 ロシアの攻撃激化

・ロシアのミサイル攻撃受けるウクライナ、米欧が支援拡充
・NATO国防相理事会と50カ国の支援国会合を相次ぎ開催
・米独などはウクライナに防空システムの供与表明
【ブリュッセル=竹内康雄、ワシントン=坂口幸裕】ロシアによるウクライナへの攻撃激化を受け、米欧はウクライナへの兵器供与を拡充する。12日に北大西洋条約機構(NATO)加盟国を中心にした会合を開き、防空システムの追加配備などウクライナの自衛力強化を討議した。
NATOは12~13日にベルギーの首都ブリュッセルで国防相理事会を開催。合わせて米政府が主催するウクライナ支援国会合には50カ国ほどが参加した。NATOに加盟申請しているフィンランドやスウェーデンも加わった。
ロシアがウクライナ各地にミサイル攻撃をしかけたことを踏まえ、両会合の優先議題はウクライナへの防空システムの提供となった。
ロシアは10、11日、ウクライナに100発超のミサイルを発射したもようだ。ウクライナ側は半数以上を撃墜したとしているが、電力施設や住宅などが被害を受けた。

オースティン米国防長官は12日、「安全保障支援や訓練の取り組みは不可欠だ。我々は最も差し迫った自衛力の向上にリアルタイムで応え続け、今後数カ月、数年にわたり、有効な能力を提供していく」と表明した。
オランダ国防省は12日、ウクライナの防空支援のため、1500万ユーロ(約21億円)相当のミサイルを援助すると発表した。
会合には、ウクライナのレズニコフ国防相が参加し、防空システムや精密誘導弾などの支援に加え、訓練手法についても話し合った。
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日の主要7カ国(G7)首脳とのオンライン協議で「ウクライナが十分なだけの、近代的で効果的な防空システムを受け取れば、ロシアのロケット攻撃は機能しないだろう」と訴えた。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は11日、7月に譲渡を決めた中距離の地対空ミサイルシステム「NASAMS」2基が近くウクライナに届くメドが立ったと明かした。
米国とノルウェーが1990年代に共同開発した。欧州や中東など10カ国超が導入するが、ウクライナは使っていない。
米国はさらに6基のNASAMSを送る計画だ。ウクライナは旧ソ連製の地対空ミサイルシステムを運用する。米政府高官によるとシステムの維持・管理が難しくなる公算が大きく、米欧製への切り替えが課題になっている。
ドイツメディアによると、同国のミサイル防衛システム「IRIS-T SLM」が引き渡された。ゼレンスキー氏はフランスとイタリアに両国企業が共同開発した「SAMP-T」の支援を呼びかけた。
ウクライナへの兵器供与を続けるNATOは、加盟国が在庫を積み増したり、補充したりする必要に迫られている。戦争が長引くほど、在庫の補充が重要になるとして、産業界と生産拡大に向けた議論に入っている。
12日からの国防相理事会ではどういった兵器がどのくらい必要かを話し合い、産業界が投資しやすくなるように一定の目安を示すことを視野に入れる。共同購入にも踏み込む見通しだ。共同で調達すれば、価格交渉力が増す一方、加盟国間の運用性も高まる。

2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻しました。戦況や世界各国の動き、マーケット・ビジネスへの影響など、関連する最新ニュースと解説をまとめました。
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