EU、ワクチン輸出制限を延長 6月まで

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)の欧州委員会は11日、新型コロナウイルスワクチンの輸出制限措置を6月まで延長すると発表した。1月の導入時には3月末までの措置としていたが、製薬会社のEUへのワクチン供給が遅れているため延長に踏み切った。
制限措置はEUが事前購入契約を結び、ワクチン開発などの資金を支援した製薬会社に対し、域内で製造したワクチンの出荷計画を事前に申告し、許可を得るよう義務付けている。EUでは米英に比べてワクチン接種が遅れており、ワクチンを契約通りに供給するよう製薬会社に圧力をかける狙いがありそうだ。欧州委によるとEUはバルカン諸国やアフリカへの支援用も含め、最大26億回分のワクチンを契約している。
EUの輸出制限措置を巡っては「ワクチンの囲い込みだ」として国際機関や他国から批判が出ていた。欧州委のドムブロフスキス上級副委員長は声明で「多くの人によって懸念された貿易の途絶は起きていない」と反論した。
欧州委の発表文によると、英国やカナダ、日本など31カ国に向け3400万回分のワクチンの輸出が許可されたという。一方で承認されなかったのは1件で、イタリアからオーストラリアに輸出が計画されていた英アストラゼネカ製ワクチンとみられる。

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