WHO「欧州の過半数がコロナ感染」 今後6~8週で
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【パリ=白石透冴】世界保健機関(WHO)のハンス・クルーゲ欧州地域事務局長は11日、今後6~8週間で欧州の人口の過半数が新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」に感染する可能性があると警告した。域内26カ国で毎週、人口の1%超が感染している状況から判断したという。
クルーゲ氏は記者会見で、米ワシントン大学の保健指標評価研究所(IHME)の試算に基づいて説明した。「前例のない感染規模のため、入院患者数も増えている」と医療機関への負荷が高まっていることも訴えた。ワクチン接種が完了している人の多くが感染しているものの、「重症化や死亡を防ぐにはワクチンは有効だ」とし、ワクチン接種を促した。
英オックスフォード大学の研究者らでつくる「アワー・ワールド・イン・データ」によると、欧州全体で人口の6割超がワクチン接種を完了したが、感染拡大を防げていない。直近の1日当たりの感染件数(7日移動平均)はフランスが約26万、英国が17万、イタリアが15万などとなっている。
ただ死者数でみると、最初の感染の波が襲った2020年春などと比べると低く抑えられている。オミクロン型の毒性が別の変異型「デルタ型」より低いとされていることや、ワクチンが重症化を防いでいることなどが要因とみられる。
一方、WHOは11日の報道機関向け資料でワクチンの追加接種(ブースター接種)について、「ブースター接種を繰り返すという戦略は適切ではない」と表明した。富裕国ばかりで接種が進み、不平等が是正されないことなどを理由として挙げた。代わりに「感染を防ぐ効果が高いワクチンの開発を進めるべきだ」として、新しいワクチンの必要性を指摘した。