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ロシアの財政赤字6兆円 22年、ウクライナ侵攻で戦費増

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ロシアの財政が悪化している。2022年暦年の財政収支は約3.3兆ルーブル(約6.2兆円)の赤字に転じたもようだ。社会保障費の支出増に加え、ウクライナへの軍事侵攻で戦費が急増したのが原因だ。足元では主要輸出品である原油の価格が低下しており、23年は財政状況が一段と厳しさを増す可能性がある。

シルアノフ財務相が10日の政府会議で22年の財政収支の速報値を明らかにした。当初予算では1.3兆ルーブルの黒字を見込んでいたが、歳出が当初から3割増の31兆ルーブルに膨らみ赤字に転じた。

ロシアの財政収支は21年に約5200億ルーブルの黒字だった。22年の赤字額は国内総生産(GDP)の2.3%に相当する。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で4.1兆ルーブルの赤字を計上した20年に次ぐ赤字幅となる。

歳出の急増についてシルアノフ氏は10日「人々の(生活)支援に向けられた」と説明したが、22年2月に始めた軍事侵攻に伴う戦費も要因だ。有力紙ベドモスチは9月、政府資料をもとに、当初3.5兆ルーブルを見込んでいた国防費が3割以上増え、約4.7兆ルーブルにのぼる見通しだと報じていた。

ロシアの国家財政は歳入の4割前後を占める石油・天然ガス部門の収入に左右される。22年予算案ではロシア産石油の平均価格を1バレル62ドルと見込んでいたが、実際は1バレル76ドルまで上昇した。これにより歳入は2.8兆ルーブル増えたが、歳出の増加が上回った。

ロシアの国家財政は18~19年に黒字を確保するなど比較的安定していた。政府予算とは別に、石油・ガス部門からの余剰収入を積み立てた福祉基金が22年12月時点で約11兆4千億ルーブルあり、22年の財政赤字を吸収できる状況にあった。

23年以降の財政は不透明だ。予算案で想定した原油価格は1バレル70ドルだが、22年12月の平均価格は50ドルまで低下した。米ブルームバーグは1月9日、直近の取引価格が約38ドルまで低下したと伝えた。主要7カ国(G7)などが22年12月に導入したロシア産石油の上限価格が効果を上げている。

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