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ウクライナ原子力施設、脅かされる安全 核研究所再攻撃

【ウィーン=細川倫太郎】ロシア軍の侵攻が続くウクライナで原子力関連施設の安全が脅かされている。10日には核物質を扱う研究所が再び攻撃を受けたほか、北部チェルノブイリ原子力発電所とはすべての通信が途絶えた。放射性物質の漏洩など重大な事故につながる懸念は強く、国際原子力機関(IAEA)は対応を急ぐ。

ウクライナ原子力規制当局によると、北東部にある第2の都市ハリコフの核物質を扱う国立物理技術研究所が攻撃され、建物が損傷した。研究所付近の宿泊施設では火災が発生した。

同研究所には実験用の原子炉があり、6日にもロケット弾が撃ち込まれている。ウクライナ側は「ロシアがまた核テロをした」と非難した。

IAEAは10日、ロシア軍が制圧したチェルノブイリ原発との間のすべての情報通信手段を失ったと、当局から報告を受けたと発表した。

これまでは電子メールを通じて、かろうじて現場の職員と連絡ができていた。今後は、原子炉や使用済み燃料プールの正確な状況把握や、外部からの指示ができなくなる恐れがある。

同原発では9日、ロシア軍の軍事行動で停電が起き、予備のディーゼル発電機で対応している。ロシアのエネルギー省は10日、ベラルーシの専門家の協力で電力供給が回復したと発表したが、ウクライナ当局は11日、電力供給が復旧していないと発表した。

職員の勤務交代も滞っており、労働環境は著しく悪化している。疲労で適切な判断を下せなければ、作業ミスが発生しかねない。核物質の監視システムからのデータ送信が停止するなどの障害も起きている。

同じく制圧された欧州最大級の南部ザポロジエ原発とのデータ通信も途絶えている。IAEAによると、施設の修理に必要な予備部品や専門人員を送ることができない状況だ。

同原発の周辺の貯水池の土手に地雷が埋設されたとの情報もある。ロシア軍は南部の南ウクライナ原発の制圧も狙って、進軍しているもようだ。

IAEAのグロッシ事務局長は10日、トルコ南部のアンタルヤを訪れ、ウクライナのクレバ外相、ロシアのラブロフ外相と個別に会談した。

IAEA本部があるオーストリアに帰国後、ロシアとウクライナは原発の安全確保へ「我々と協力することに同意した」と述べた。具体的な内容について早急に詰めるほか、両国との協議開催も模索している。

ウクライナには4カ所、計15基の原子炉がある。当局によると、現時点では放射線レベルは正常としている。同国は原発への依存度が高く、発電量の約5割を占める。放射性物質の大量飛散など最悪のシナリオは回避できても、稼働停止で電力不足に陥るリスクも膨らむ。

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