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モルドバが親欧米路線加速 議会選で大統領の政党が勝利

11日、首都キシニョフで投票を終え、取材陣に囲まれたサンドゥ大統領=ロイター

【モスクワ=石川陽平】旧ソ連のモルドバで11日に行われた議会選(定数101)で、親欧米派のサンドゥ大統領が創設した政党「行動と連帯」が圧勝した。大統領は親ロシア派から議会の主導権を奪い、欧州への統合路線を加速する。ロシア系住民が多く独立状態にある沿ドニエストル地域からのロシア軍撤退も強く求めるとみられる。

「我々の民主主義はまだ若く、多くの問題がある」。サンドゥ大統領が12日未明までに、交流サイト(SNS)のフェイスブックを通じてこうコメントを発表した。議会選で勝利した喜びだけでなく、ソ連崩壊に伴い国家独立を果たしてから30年、経済再建や汚職対策などなお重い課題を抱えているとの厳しい認識も示した。

議会選は比例代表制で実施され、任期は4年。中央選挙管理委員会によると、開票率約99%の時点で、「行動と連帯」の得票率は52%となり、過半数の議席を獲得することが確実な情勢だ。親ロ派の社会党と共産党の政党連合は27%にとどまった。2020年11月の大統領選でサンドゥ氏が勝利した勢いを維持し、親ロ派に差をつけた。

モルドバの国家体制は共和制で、議会が立法権だけでなく政府閣僚の決定権など強い権限を持つ。親欧米派のサンドゥ氏は大統領選で親ロシア派のドドン前大統領に勝利したが、議会はまだ親ロ派の社会党が多数を占めていた。議会との対立が続いたことから、サンドゥ氏が今年4月に議会の解散に踏み切った。

議会を掌握したサンドゥ政権は今後、欧州連合(EU)加盟を視野に入れた欧米との協力強化や国内経済の立て直し、深刻な汚職の対策を急ぐ考えだ。EUもモルドバの新政権を支える姿勢を鮮明にしており、6月初めには24年までに6億ユーロ(約780億円)を融資することを決めた。

特に経済の再建は喫緊の課題だ。モルドバは「欧州の最貧国」とも呼ばれ、平均賃金が月500ドルに届かない。外国への出稼ぎ労働者からの送金が、国内総生産(GDP)の約25%を占めるとされる。国際通貨基金(IMF)によると、20年のGDPは新型コロナウイルスの感染拡大の影響もあり、8%減となった。

ロシアとの関係では、欧米の支持を得てロシアが実効支配する沿ドニエストル地域からの軍撤退を強く求めていく方針で、対立が先鋭化する可能性がある。サンドゥ氏は昨年11月末の記者会見で「モルドバ政府は、ロシア軍は撤退すべきだという立場を常に取っており、これを維持する」と強調した。

モルドバは人口約310万(出稼ぎ労働者を除く)で、ルーマニア系のモルドバ人が大半を占める。小国ながら欧州とロシアの間にある地政学的要衝で、両者の勢力争いが続いてきた。ロシアが主導する旧ソ連諸国の地域協力機構、独立国家共同体(CIS)にも加盟する。大統領選に続いて議会選でも親ロ派が敗れ、ロシアの影響力低下が鮮明になった。

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