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ベラルーシ大統領、権力維持に布石 国民会議で対話演出

(更新)
ルカシェンコ氏は演説で大統領としての正統性を強調した(11日、ミンスク)=国営通信ベルタ・ロイター

【モスクワ=小川知世】独裁的なルカシェンコ大統領の辞任を求める抗議が続いたベラルーシで11日、政権が「全ベラルーシ国民会議」を開いた。各界代表を集めて対話を演出し、権力維持に布石を打つ構えだ。同氏は演説で2022年に憲法改正の国民投票を実施する方針を示した。政権主導の改憲に反体制派から反発が強まりそうだ。

ベラルーシでは20年8月の大統領選でルカシェンコ氏の6選が発表されたのを受け、大規模な抗議が起きた。同氏は改憲後に権限を移譲する用意があると述べ、不満をかわそうとしていた。ロシアを後ろ盾に政権が反体制派への圧力を強め、抗議は縮小している。

国民会議は12日にかけて開き、政界や地方の代表らと経済や社会の発展を議論する。タス通信などが伝えた決議案によると、改憲の準備委員会を設けて21年に議論するように提案する決議を採択する。会議では主な反体制派は排除された。大統領選後に出国したチハノフスカヤ氏は「茶番」と批判していた。

ルカシェンコ氏には開催で大統領としての正統性を主張する狙いがある。改憲を政権の延命策だと疑う見方は根強い。ルカシェンコ氏は演説で「本年中に改憲が準備され、全国民で議論される。来年初めには国民投票が実施されるだろう」と語った。

ルカシェンコ氏が改憲を提案した背景にはロシアの意向があったとみられている。ロシアは隣国での抗議による政権転覆を警戒し、政権主導の権力移行を探った。だがロシアでも反体制派指導者ナワリヌイ氏の拘束を機に抗議が起き、プーチン大統領の長期統治への不満が噴出している。

ロシアは自国で反体制派への圧力を強め、抗議を抑えようと躍起だ。ベラルーシの政治評論家カルバレビッチ氏は「ロシアがベラルーシに改憲や国民との対話を強いる余裕は少なくなった」とみる。国内の抗議縮小やロシアの動向を背景に「ルカシェンコ氏が譲歩する必要性は薄れた」と述べ、辞任の先送りをはかる可能性を指摘した。

「やめろ」と書いた紙を掲げてルカシェンコ氏への抗議を続ける市民ら(1月、ミンスク)=AP

今後は反体制派が再び退陣圧力を強められるかが焦点となりそうだ。

経済は停滞し、対ロ依存からの脱却は見通せない。国債残高は1月時点で前年同月比29%増えた。経済成長を担うと期待されたIT人材は近隣国に流出が続く。人権尊重を訴える欧米との関係は冷え込み、ルカシェンコ氏を表向きは支持する中国も欧州進出に利用できないとして投資に慎重になるとみられている。

生活水準の低下は抗議の一因でもある。現地の独立系メディアの記者は「道路清掃や住宅インフラの維持など基本的な公共サービスに充てるお金も不足し始めている」と話す。反体制派側は経済悪化による政権内部からの離反や抗議の再拡大を待っているとの見解を示した。

人権団体ビャスナによると、抗議などで逮捕され収監中の政治犯は230人以上にのぼる。当局は抗議を象徴する赤と白の旗を「過激主義」として禁じる方針を1月に示し、窓際に旗を置いただけで拘束された市民もいるという。ビャスナのステファノビク副代表は「国民はかつてない弾圧にさらされている。当局の圧力は強まる一方だ」と訴えた。

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