イランとサウジアラビアが正常化、アラブ諸国は歓迎

【ドバイ=福冨隼太郎】イランとサウジアラビアが発表した外交関係の正常化計画について、サウジと同じアラブ諸国は歓迎する姿勢を相次いで示した。地域の安定につながるとの期待が広がっている。仲介した中国の役割を評価する見方も浮上している。
アラブ首長国連邦(UAE)のガルガシュ大統領外交顧問は10日「UAEはサウジとイランの合意を温かく歓迎する」とツイートした。同時に「地域の安定と平和に向けた前向きな一歩を促す中国の役割を高く評価する」とも書き込んだ。
イランとサウジの両政府は10日、中国の仲介で2カ月以内に外交関係を正常化すると発表した。イスラム教のシーア派が国教のイランと、スンニ派が主体のサウジは2016年、テヘランで起こったサウジ大使館への襲撃を機に断交した。
イラクも合意に好意的だ。同国外務省は「両国の外交関係の新たなページが始まることを歓迎する」とコメントした。イラクもイランとサウジの協議を仲立ちしていた。イラク通信によると、イランのアブドラヒアン外相は10日、イラクのフセイン外相に電話で謝意を伝えた。
オマーン外務省も「地域と世界に利益をもたらす建設的な協力関係の強化に期待する」との声明を発表した。エジプト外務省は「合意が地域の緊張を緩和し、アラブの安全保障の安定と維持に貢献することを望む」と表明した。
イランを後ろ盾とするイエメンのイスラム教シーア派武装勢力フーシの幹部は10日「この地域は失われた安全を取り戻すため、各国間の正常な関係の回復を必要としている」とツイートした。フーシはイエメン内戦でサウジ率いるアラブ有志連合と対立している。
イランが支援するレバノンのシーア派組織ヒズボラ幹部も「よい進展だ」と評価した。ロイター通信が伝えた。