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マクロン氏、再選へ地方票・若者票の取り込み課題に

仏大統領選

【パリ=竹内康雄】フランス大統領選の1回目投票で、現職のマクロン大統領がトップに立った。敗退した候補者の多くは2週間後の決選投票に向けてマクロン氏支持を表明した。一方、極右国民連合党首のルペン氏は失業問題など生活不安が強い地方で支持を広げている。マクロン氏は再選に向け、1回目投票で敗れた他候補を選んだ地方や若年の有権者を取り込めるかが課題になる。

「極右を阻止するための賢明さに感謝したい」。10日夜、マクロン大統領は支持者の前に現れ、決選投票でマクロン氏を支持すると表明した他の候補者に謝意を示した。中道右派共和党のペクレス氏、中道左派社会党でパリ市長のイダルゴ氏、環境政党欧州エコロジー・緑の党(EELV)党首のジャド氏らはマクロン氏に投票すると明らかにした。

3位で20%超の票を獲得した急進左派の「不服従のフランス」党首のメランション氏はマクロン氏の名前は出さなかったものの、ルペン氏に投票しないよう支持者に呼びかけた。消極的なマクロン氏支持といえる。

多くの候補の支持を得るマクロン氏は一見優位にみえる。メランション氏を含めると、マクロン氏支持を表明した候補が第1回投票で得た票は合計でゆうに5割を超える。ルペン氏を支持するのは同じ極右の「再征服」のゼムール氏くらいだ。

だが調査会社Ifopによると、決選投票の予想はマクロン氏が51%、ルペン氏が49%と肉薄する。ルペン氏が数カ月前から地方行脚を続け、支持を固めていることが背景にある。

1回目投票の地域別得票率をみるとルペン氏はフランスの北部や南部で票を伸ばした。平均を上回る失業率など生活不安から現政権への不満が膨らむ地域で、移民や物価高騰など有権者の関心が高い分野に焦点を当てた選挙戦略が功を奏した。

一方、現職大統領のマクロン氏はロシアによるウクライナ侵攻への対応に手を取られ、大統領選への立候補が遅れた。地方をまわる時間は少なく、大規模な集会はパリでの1回のみだった。マクロン氏の得票率を押し上げたのはパリ首都圏や中部、西部などの有権者の支持だ。

年齢別にみると若者はメランション氏支持が目立つ。仏BFMテレビによると、18~24、25~34歳の層では同氏の支持がもっとも多い。35~49、50~64歳ではルペン氏、65歳以上ではマクロン氏がトップに立つ。

将来への不安や現行制度への不満を抱える若者や壮年層には、理想主義的な公約を掲げるメランション氏や、生活支援などを訴えるルペン氏が魅力的に映る。マクロン氏は決選投票までの2週間でこうした層を取り込む必要がある。

ルペン氏が大統領になれば、欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)の意思決定は大きく変わる。フランスはドイツと並ぶEUの中核国で、マクロン氏は親欧州の立場でEU統合を推進してきた。

ルペン氏はEU離脱など従来の過激な主張は抑えているが、EUやNATOとこれまでより距離をとるのは間違いない。経済政策や安全保障・防衛面での欧州統合は逆回転する可能性がある。ロシアのプーチン大統領との近さも指摘される。EU唯一の国連安全保障理事国で核保有国のフランスとNATOの関係が希薄になれば、欧州の防衛も手薄になるリスクがある。

ルペン氏、8歳で爆弾テロ被害


極右国民連合党首のマリーヌ・ルペン氏はパリ郊外の生まれで、父は国民連合の旧称である国民戦線創立者のジャンマリ・ルペン氏。8歳の時に爆弾テロで自宅が一部破壊された経験も。18歳で同党党員となる。パリ第二大卒で弁護士資格も持つ。

極端な主張を掲げる方針に限界を感じ、2011年の党首就任後は反ユダヤ人主義などを唱える父と距離を置き、欧州連合(EU)離脱の公約も取り下げた。
大の猫好きで、日本経済新聞の取材に「飼い猫と遊ぶと心が和む」と語っている。53歳。

マクロン氏、青年時代は作家志望


現職大統領のエマニュエル・マクロン氏は投資銀行出身。ほとんど政治経験がなかったにもかかわらず、既存政治への不信感を追い風に、39歳で2017年大統領選に勝利した。青年時代は作家を目指していた。

大聖堂で知られる仏北部アミアン出身。子供の時は祖母と仲が良く、両親とではなく祖母と暮らしたいと言い出すほどだったという。
エリート養成の最高峰国立行政学院(ENA)で学び、経済学者ジャック・アタリ氏を通じ政財界に人脈を築いた。趣味はピアノ。44歳。

(パリ=白石透冴)

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