キルギス大統領選、政治混乱で解放のジャパロフ氏が当確

【モスクワ=小川知世】旧ソ連・中央アジアのキルギスで10日に前倒し大統領選が実施され、2020年10月の政治混乱で実権を握ったサディル・ジャパロフ氏(52)が当選確実となった。大統領の権限を強める方針を示しており、強権的な政治につながりかねないとの懸念も出ている。
大統領選は20年10月の議会選で与党の圧勝発表に対する抗議が起き、ジェエンベコフ前大統領が辞任したのを受けて実施された。17人が立候補し、中央選管によると、ジャパロフ氏の得票率は約83%だった。
元国会議員のジャパロフ氏は人質事件で実刑判決を受け服役中だったが、議会選後の混乱で解放され、首相や大統領代行を一時務めた。対立候補は大統領選が不公正だったと訴えている。
ジャパロフ氏は憲法改正で大統領の権限を強める構えだ。「政党政治が混乱をもたらした」(同氏)として、大統領制への移行を提案。現行の議会制と大統領制のどちらを支持するかを問う国民投票も10日に実施し、選管は約8割が大統領制に賛成したと発表した。
ジャパロフ氏はロシアを重視する外交方針を強調している。キルギスは強権的な国が多い中央アジアで民主化が比較的進んだとされる一方で、政変が繰り返されてきた。経済の悪化は深刻で、いずれ政情不安が再燃する恐れも指摘されている。