WTO会合、ワクチン特許放棄巡る協議継続へ

【ウィーン=細川倫太郎】世界貿易機関(WTO)は9日、新型コロナウイルスワクチンの特許の一時放棄について協議を継続していくことで合意した。途上国でワクチンの普及が遅れるなか、生産拡大は急務になっている。ただ、加盟国間の意見の相違は大きく、交渉は難航が予想される。
WTOは8~9日の2日間にわたって知的財産についての理事会を開催した。各国は提出した文章に基づいて、協議を一段と強化していくことで一致した。7月の一般理事会でも議論する見通しだ。
特許の一時放棄を巡ってはインドと南アフリカが2020年10月に提案し、米国も5月にこの案を支持した。だが、欧州連合(EU)やスイスは特許を放棄すれば製薬会社の研究意欲がそがれるなどと反対している。