/

EUがインフラ支援策、一帯一路に対抗 「透明性」軸に

中国が融資した高速道路の建設現場(5月、モンテネグロ)=ロイター

【ブリュッセル=竹内康雄】欧州連合(EU)は12日開いた外相理事会で、中国主導の広域経済圏構想「一帯一路」に対抗するインフラ支援計画をまとめることで合意した。環境や透明性を前面に出し、発展途上国や新興国に新たな選択肢を示す。

背景には高い成長を続けるアジアやEUの領域に近いバルカン半島諸国で、中国の存在感が高まってきた現状への警戒感がある。日米などとの協力も進める。

外相理事会は12日「グローバルにつながる欧州」というタイトルの文書を採択し、欧州委員会と対外行動庁(外務省に相当)に対し、2022年春までに文書の内容を具体化するよう指示した。

支援するインフラ事業の特定を優先する。道路や港湾、発電など生活に欠かせない重要インフラのうち、特に影響の大きな事業が対象になりそうだ。

民間投資を促す資金調達枠組みを構築する。27年までのEUの7カ年予算、欧州投資銀行(EIB)などの政策金融機関を通じ、官や民の資金を活用する体制を整える。関係者との協力も模索する。

EUは日本、インドとそれぞれ、インフラ整備を共同で進める「連結性パートナーシップ」を締結済みだ。ドイツのマース外相は12日、記者団に「米国と緊密に協力することが重要だ」とも述べた。

EUが重視するのは温暖化対策などの持続可能性、融資の透明性だ。一帯一路関連のインフラ整備についてEUはかねて、債務のあり方や労働者の権利などを巡り、基本的なルールが守られていないと問題視してきた。EUが支援するインフラ網を広げれば、サプライチェーン(供給網)の安定にもつながると考えている。

外相理事会が採択した文書は名指しを避けるが、中国を念頭に置くのは明らかだ。EUの外相にあたるボレル外交安全保障上級代表は12日の記者会見で「中国と同じ手法はとらない」と明言した。

6月に英国で開いた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、財政や環境の持続性を考慮しながら途上国や新興国に数千億㌦規模のインフラ支援を実施することで合意した。EUもG7と足並みをそろえた形だ。

EU外相理事会に出席したボレル外交安全保障上級代表(左から2番目)ら(12日、ブリュッセル)=AP

金融情報会社リフィニティブによると、20年末時点で一帯一路関連の事業規模は計2兆5000億ドル(約276兆円)にのぼる。EUは現段階で支援の規模を示していないが、中国の資金力に対抗するため西側陣営で協力を深める構えだ。

一帯一路を巡っては「債務のワナ」に陥る事例が相次ぐ。中国の国有銀行などからの融資を返済できなくなった途上国や新興国が、建設した高速道路や港湾の使用権を中国側に認めるケースは典型だ。4月にはEUに近いバルカン半島の小国モンテネグロが中国への債務の肩代わりをEUに求めてきた。

バルカン半島では歴史的に欧州諸国、ロシア、トルコが勢力を競い合ってきた。近年は中国が影響力を拡大している。「現時点ではこの地域で、EUの信頼と影響力は低い」。7月初旬、リーカー米国務次官補代行(欧州・ユーラシア担当)は北マケドニアでの会議で、バルカン半島でEUが存在感を十分に発揮できていないと指摘した。

バルカン半島諸国の加盟交渉でEUがもたつく間に中国やロシアの存在感が増したと米国はみている。半島のモンテネグロ、アルバニア、北マケドニアはEU加盟候補だ。EU議長国に7月就いたスロベニアは加盟交渉を加速させる姿勢をみせる。だが、バルカン半島諸国側には汚職やガバナンス(統治)などで目立った改善が見られず、EU加盟国の一部は受け入れに慎重だ。

EU側には、バルカン半島諸国のインフラ整備も支援することで、EU側につなぎとめる狙いもある。

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン