/

欧州中銀、物価上昇でも緩和維持 債券購入ペース変えず

(更新)
think!多様な観点からニュースを考える
物価上昇が進むなか、難しい政策判断を迫られるECBのラガルド総裁(2月)=ロイター

【ベルリン=石川潤】物価上昇圧力が強まるなか、異例の金融緩和を続ける欧米の中央銀行が難しいかじ取りを迫られている。欧州中央銀行(ECB)は10日の理事会で、現状のペースで債券購入を続けることを決めた。景気回復を支えるため「良好な金融環境の維持が不可欠」(ラガルド総裁)との判断だが、緩和が行き過ぎれば思わぬインフレや資産バブルにつながるリスクもある。

ECBはコロナ危機に対応するため、総額1兆8500億ユーロ(約240兆円)の緊急買い取り制度を導入済み。国債などを市場から大量に買い入れて金利の急激な上昇を抑え、良好な金融環境を維持するのが狙い。買い取り総額や「少なくとも2022年3月まで」とする期限を維持した。政策金利も据え置いた。

焦点だった今後3カ月の資産購入も「(年初より)かなり速いペース」で続けるとの表現を変えなかった。景気や物価が上向くなか、買い入れペースを維持するかが焦点となっており、仮に落とせば、緩和政策の出口に向けた一歩と市場が受け取る可能性があった。

ラガルド総裁は10日の記者会見で、経済の先行きについて「3カ月前よりも楽観的だ」と語った。ワクチンの普及で新型コロナウイルスの感染は下火となり、先行きの明るさが増している。同日公表した新たな経済・物価見通しでは域内総生産(GDP)が21年に4.6%、22年に4.7%上昇するとし、3月時点の見通しを上方修正した。

ただ、物価には引き続き慎重な見方を示した。ユーロ圏の消費者物価上昇率は5月にECBが目指す2%に到達したが、エネルギー価格上昇などによる一時的な要因が大きいとみている。物価上昇率の見通しは21年が1.9%、22年が1.5%、23年が1.4%にとどまるとした。

欧州では景気回復期待などで春以降、ユーロ高と金利上昇が加速する場面があった。ユーロ高を避けるため、米国が緩和縮小(テーパリング)に着手するまでECBは動きにくいという事情もある。ラガルド総裁は緩和の出口についての議論は「早すぎる」と語った。

米連邦準備理事会(FRB)は15~16日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。4月の前回会合と同じく会合参加者がテーパリング開始の議論に言及する可能性は高いが、計画を具体的に話し合い、市場との対話を深めるのは今夏以降となりそうだ。

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

  • この投稿は現在非表示に設定されています

    (更新)
    (0/300)
(0/300)
投稿内容をご確認ください
投稿チェック項目誤字脱字がないかご確認ください
投稿チェック項目トラブル防止のため、記事で紹介している企業や人物と個人的つながりや利害関係がある場合はその旨をお書き添えください
詳細は日経のコメントガイドラインをご参照ください

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

関連トピック

トピックをフォローすると、新着情報のチェックやまとめ読みがしやすくなります。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

新着

注目

ビジネス

ライフスタイル

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン