カザフ抗議デモ、内相代行「状況は安定」 6000人拘束

【モスクワ=石川陽平】中央アジアのカザフスタンで広がった大規模な抗議デモで、トゥルグムバエフ内相代行は9日「状況は全地域で安定した」との声明を発表した。注目される初代大統領ナザルバエフ氏の動向について、同氏の報道官は9日、首都ヌルスルタンでトカエフ現大統領を支援していると述べた。
カザフ大統領府は9日、抗議デモの取り締まりで拘束者数が約6000人に達し、多くの外国人が含まれていると明らかにした。タス通信によると、カザフの地元テレビはデモ参加者と治安部隊の衝突で164人が死亡したと伝えた。
トゥルグムバエフ内相代行は9日の声明で「国内の法秩序を回復する反テロ作戦は続いている」と強調した。現地からの報道によると、治安部隊と抗議デモの参加者との衝突は、特に激しかった南部の主要都市アルマトイでも収束しつつある。アルマトイ周辺に数多くの検問所が設置され、暴徒化したデモ参加者の取り締まりを強化している。
ロシア主導の軍事同盟「集団安全保障条約機構(CSTO)」の加盟国は、カザフに総勢約2500人とされる「平和維持部隊」を派遣した。ロシア大統領府によると、CSTO加盟6カ国は10日にオンライン形式で緊急の首脳会議を開き、カザフ情勢を協議する。
抗議デモは燃料価格の高騰をきっかけに発生した。「院政」を敷いていたナザルバエフ氏への反発を背景に広がり、一部が暴徒化した。トカエフ大統領はデモ隊をテロリスト集団による侵略行為だと主張し、国外で訓練を受けた武装集団が参加していると批判している。
ナザルバエフ氏は2019年まで長期政権を敷き、大統領職を退いた後も安全保障会議の議長を務めていたが、トカエフ氏が5日に解任した。ナザルバエフ氏の報道官は9日、同氏が状況の悪化を受けて自らの意志で議長を辞任したと説明した。
報道官は、ナザルバエフ氏がトカエフ氏と「共闘」しているとも指摘した。ナザルバエフ氏が失脚したとの見方もあるが、大統領の後ろ盾として一定の影響力を保持している可能性がある。