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独仏、15年の和平合意で打開模索 ウクライナ情勢緊迫で

緊張が高まるウクライナ情勢を巡り、ショルツ独首相とマクロン仏大統領が打開に向けた外交を進めている。2015年に独仏ロとウクライナの4カ国協議でまとめたが履行されていない和平合意「ミンスク合意」をベースに、ロシアとウクライナに妥協を求める戦略だ。ただ、超大国・米国を抜きにした外交交渉ではロシアに妥協しすぎるリスクがあり、ウクライナが応じない可能性も残る。

「欧州の戦争を回避する」。ショルツ氏は8日、ベルリンに招いたマクロン氏、ポーランドのドゥダ大統領と並んで緊張緩和に取り組む考えを強調した。ウクライナ国境にはロシア軍が集結し、一触即発の状態が続く。「(東欧革命が起きた)1989年以来、もっとも厳しい状況」(ドゥダ氏)だが、あくまで外交による解決を探る考えを示した。

独仏が交渉の突破口と考えるのが、ウクライナ東部紛争の和平のために2015年に結ばれたミンスク合意だ。マクロン氏は7日のロシアのプーチン大統領、8日のウクライナのゼレンスキー大統領との会談で、両氏から合意支持の言質を引き出した。いまだ履行されていない合意を前進させることが「和平への唯一の道」というのがマクロン氏の認識だ。

ミンスク合意は親ロ派勢力が実効支配するウクライナ東部の一部地域に高度な自治権など「特別な地位」を付与すると定めている。ロシア側はウクライナが履行していないと批判し、ウクライナ側も東部からのロシア軍の撤収が先だなどと主張して譲らない。合意内容がロシア側に有利で、ウクライナ国内の反発が強いという問題もある。

ミンスク合意は独仏ロとウクライナの「ノルマンディー4」と呼ばれる4カ国協議でまとめられた。独仏は欧州の主要国として域内の紛争収束に指導力を発揮したいという意向があった。4カ国は1月に政府高官級の協議を再開し、10日に再びベルリンで協議を行う。独仏は4カ国協議を緊張緩和の糸口としたい考えだ。

ロシアを交渉のテーブルにつかせるため、独仏は硬軟合わせた「二重戦略」(ショルツ氏)で臨む。ショルツ氏は7日にワシントンでバイデン米大統領と会談し、ロシアがウクライナに侵攻すれば、強力な制裁に踏み切ることで合意した。侵攻が高い代償を伴うことを強調し、交渉に引き込もうとしている。

問題は、大国間で和平を急ぐあまり、ウクライナの意向をないがしろにしてロシアに譲歩しすぎてしまう恐れがあることだ。プーチン氏はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟に反対している。仏メディアによると、マクロン氏はウクライナをフィンランドのように中立化する案があると周辺に語った。マクロン氏は否定したが、ウクライナ側は不信感を強める。

ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、ベーアボック独外相との会談を直前でキャンセルした。ドイツがウクライナへの武器輸出を拒み続けていることへのウクライナ側の反発も強まっている。

独仏首脳が百戦錬磨のプーチン氏と渡り合って、和平への道筋を描けるかという疑問もある。マクロン氏は外交・安全保障でフランスが欧州連合(EU)内の指導的立場にあるべきだという意識が強いが、対ロ関係などで具体的な成果を出せていない。21年12月に就任したばかりのショルツ氏は首脳外交の経験に乏しく、国内の政治基盤の弱さもあって存在感を発揮できないでいる。

(ベルリン=石川潤、モスクワ=桑本太)

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