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欧米石油5社、コロナ禍で巨額赤字 20年最終8.1兆円

【ロンドン=篠崎健太】欧米石油大手5社の2020年12月期決算が9日出そろい、全社が大幅な最終赤字に転落した。合計の赤字額は772億ドル(約8兆1千億円)で、前の期からの悪化幅は1256億ドルに達した。新型コロナウイルスのまん延で資源需要が急減し、事業資産の減損損失もかさんだ。原油価格はコロナ禍前の水準を回復しつつあるが、気候変動対策の圧力が増すなかで株価の戻りは鈍い。

仏トタルが同日発表した20年通期の決算は、最終損益が72億4200万ドルの赤字(前の期は112億6700万ドルの黒字)だった。売上高は1197億ドルと前の期比32%減った。資源価格の低迷や低炭素化を踏まえた減損も膨らみ、カナダのオイルサンド事業を中心に計84億ドルを計上した。

1999年の米エクソンモービル発足で今の5社体制になってから、欧米大手の合計最終損益が通期で赤字になるのは初めて。エクソンは減損が200億㌦規模に膨らみ、統合による発足後で初の赤字に転落した。

各社は14~15年に原油価格が急落後、リストラに取り組み損益分岐点を引き下げてきた。だがコロナ禍はケタ違いのショックをもたらし、利益の安定を誇ってきた石油メジャーが軒並み赤字という極めて異例の事態になった。

国際エネルギー機関(IEA)によると、20年の世界の石油需要は日量9119万バレルと前年比884万バレル(9%)減った。コロナ禍によるヒトの移動や経済活動の制限で、航空燃料や自動車用ガソリンなどの需要が急減した。供給過剰で貯蔵設備があふれる懸念から、同年4月には米WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)原油先物が一時マイナス価格で取引される珍事も起きた。

石油大手は再生可能エネルギーなど低炭素分野の強化を急いでいる。英BPは21年1月、11億ドルを投じて北欧石油大手エクイノール(ノルウェー)から米東海岸の洋上風力発電の権益50%を取得した。トタルも同月、インドの太陽光発電の事業資産買収を発表した。

北海ブレント原油先物は8日に1バレル60ドル台に乗せ、コロナ禍前の水準を回復した。だが石油メジャーの株価は鈍く、英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは19年末より4割程度低い水準にとどまる。世界で温暖化ガス排出削減の圧力が強まるなか、化石燃料に依存してきた収益構造からの脱却がうまく進むか不安視されている。

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